0. 補聴器の周辺部品で紹介したタイループやシルエットインダクタも、磁気誘導を利用したものです。磁気誘導の原理を生かした補聴装置をループシステムと呼んでいます。日本で用いられているループシステムには大きく2通りの敷き方があります。1つは従来から使われているターンループ方式、もう1つはリオン社が特許を取っているフラットループと呼ばれる敷設方法です。ターンループは敷設するのは簡単ですが、ループコード敷設範囲外に漏れる磁気が多く、敷設した隣の部屋でも、講演会の内容が聞こえるようなことが起きてしまいます。フラットループ方式の特徴は、ループを敷いている面の特定の2方向について敷設面外に磁気が漏れる量が少ないことにあります。ですから、隣り合った2つの部屋で同時にループシステムを利用しても、実用的なレベルで混信が少なく、同時使用ができます。隣室でもループを使用しないような場合、つまり磁気漏れがあっても他に影響を与えない場所であれば、敷設が簡単で、費用も安く、移動も可能なターンループ方式を採用し、隣り合あた会場で同時に使用せざる得ない場合は、フラットループ方式を選ぶという選択が良いと思われます。ターンループ方式でも敷設の方法を考えれば、広い会場でも使うことができます(図:敷設例)。ターンループ方式は装置や敷設が簡単なため、テレビ用のタイループなどは簡単に作ることができます。