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8. おわりに

医療施設における小児難聴のリハビリテーションプログラムが有用であることは、本稿で述べたとおりであるが、残念ながら現在、多地域で普及しているとは必ずしもいえない。その理由として、ひとつは小児難聴の専門医が少なく、病院耳鼻咽喉科で診療内容にリハビリテーションシステムを標榜する施設が少ないことがある。実施にはリハビリテーションスタッフ、設備、多数の難聴児家族のニーズ等多くの条件が必要になる。ついで、言語聴覚士・医療福祉士・臨床心理士などのスタッフの配置が困難な点がある。リハビリテーションサービスにたいする医療保険制度上の問題が指摘できる。

近年、我が国は福祉型社会への移行にいたり、臨床医学の対象領域が治療・予防から、リハビリテーションに拡大しつつある。人工内耳の小児への適応と有効性についての議論や、言語聴覚士法の発効(1998年10月)を機に、医療施設における小児難聴のリハビリテーションシステムについての一層の進展が期待される。

 

参考文献

1)田中美郷、廣田栄子:聴覚活用の実際、聴覚障害者教育福祉協会、1995.

2)小寺一興編:補聴器の選択と評価、メジカルビユー社、1996.

3)コールE.他編著:聴覚学習、コレール社.

4)中野善達、斎藤佐和:聴覚障害児の教育、福村出版、1996.

5) J.G.Alpiner and P.A.McCarthy: Rehabilitative Audiology-Children and Adults, William & Wilkins, 1993.

 

 

 

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