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工内耳をつけていても、安全性という面からは何も問題ありません。勿論、人工内耳は金属ですから、これがはいっている耳のあたりは画像がみだれますが、例えば脳のCTなどでも、現実的には充分読影できる画像が得られます。

参考文献:

○House, W.F., Urban, J.:Long term results of electrode implantation and electric stimmulation of the cochlea in man. Ann Otol Rhinol Laryngol, 82: 504-517, 1973.

○Clark, G.M., Tong, Y.C., et al.: A multiple-electrode cochlear implant.

J Otolaryngol Soc Aust, 4: 208-212, 1978.

○McKay CMMcDermott HJ. Perceptual perfor-mance of subjects with cochlear implants using the spectral maxima sound proCessor (SMSP) and the mini speech processor (MSP).

Ear and Hearing 14 : 350-367,1993.

○渡辺真一:人工内耳の工学的側面.JOHNS 11(4):543〜550,1995.

○Wilson BS, Finley CC, Lawson DT, et al: Better speech recognition with cochlear implants. Nature 352(6332) : 236-8,1991.

 

3. 成人の人工内耳:手術をすすめられる人、すすめられない人

 

人工内耳で一番大切なのは、どの様な高度難聴の方が手術を受けるとよいかという選択です。人工内耳は最新の医療で、しかも常に改良が加えられていますが、なお耳の聞こえとしては完全なもではありません。つまり、健聴者と同じように全てはっきり聴こえる様になるのではないのです。したがって、これは無条件にどのような難聴者にもすすめられる手術ではなく、人工内耳で良い結果を得るためには、患者さんの今までの経過や、難聴の状態などを慎重に検討する必要があります。ここでは、手術をすすめられる人、すすめられない人について説明します。

1)人工内耳の適応基準

すでに述べた様に、人工内耳は当初のものから幾多の改良がくわえられており、これにつれて人工内耳によってえられる語音の弁別も良くなってきています。したがって、人工内耳の適応基準も変化してきました。日本での人工内耳の適応に関しては、平成2年に厚生省が日本耳鼻咽喉科学会に人工内耳に対する意見聴取を行い、翌年、人工内耳を高度先進医療として承認しましたが、その時点での人工内耳の適応基準は「使用上の注意」という形式で表1のように示されていました。その後平成6年、施設基準を満たす施設における人工内耳手術の保険適用が認められ今日に至っていますが、この間に本手術の適応は次第に低年齢化し、また言語習得前の失聴例に対しても手術が行われるようになりました。そして平成10年、日本耳鼻咽喉科学会は新しく人工内耳の適応基準についてのガイドラインを示しました(表2)。ここでは、この基準のうちの成人の項目について説明します。

 

表1

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