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かせる家庭も珍しくありませんが、これでは幾ら本人に説明や補聴器の適合を行っても、その使用が不成功に終わる危険が甚だ大きいと云えます。つまり初診時に必ず同伴して、直接補聴器に関する話をきき、取扱い方を覚え、補聴器の限界を教わり、老人が補聴器をつけても決して自分達と同じように聞こえるようにはならないので、背後から突然に話し掛けたり、早口でしゃべったりしないで、顔が見えるようにして、1m位の距離からゆっくり話すように心掛け、聞き返されたとき大声を出すと返って分かりにくいので、もう一度、ゆっくり分り易いように話すこと、またテレビの音や音楽を大きく鳴らしている部屋では特に話が聞きとりにくいこと、家族が話し合っている場合は、何について話しているか話題を老人に一寸知らせておくなど、周囲の心得や配慮次第で補聴器の効果が決定的に左右されることを購入の際に充分に念を入れて家人に話しておくことが大切です。以上のように難聴老人は家庭内でも孤独に陥入り勝ちですが、社会的にも人間関係がうまく行かず、社交の場に出ることが次第に少なくなる傾向があります。このように家に引きこもり人との対話の機会が少なくなると、補聴器による言葉のききわけも次第に悪くなりますから、家人は家庭内での配慮と共に、できるだけ、友人その他の人々と接するように勧めたり、そのような機会を作るよう心掛けるのも必要なことです。

 

4. むすび

 

以上、先づ現在の補聴器がどのようなルートで売られているのか、また補聴器供給に関して補聴器業界および耳鼻科医のサービス体制はどうなっているのか、また両者の連係はどの程度なのかを述べ、このような不充分な受け入れ体制の下で、難聴老人が補聴器を入手する際に最も賢明な考え方と行動とは何か、特にすべてを補聴器の力に頼るのは誤りで、補聴器使用に成功するか否かは、自らの果すべき役割りに積極的に取り組むか否かにかかっていることを重ねて強調しておきます。

 

 

 

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