補聴器購入に際して知っておくべき予備知識
神戸大学名誉教授
服部 浩
1. はじめに
1998年度1年間に補聴器を購入した人(新規および買替え)の90%内外が60歳以上で占められ、高齢化に向け更にその割合は増えることが予想されます。(18歳以下は、3.2%前後)以下はこの圧倒的多数を占める老人を対象としてお話しします。
最近家族からテレビの音が大きすぎると言われたり、教会やお寺で牧師さんの説教や住職の法話がききとりにくい、習い事の会で先生のことばがよく分からないなど、自分の耳がどうも少し遠くなったように感じながらも、日常生活には余り支障がないので、そのまま過ごしている人が少なくないと思います。そのような場合、家族に勧められたり、たまたま、新聞や雑誌で補聴器の広告が目にとまったり、街を歩いていて、偶然補聴器の看板に気付いたり、または親しい人が自分も耳が遠いので補聴器を使っているが、貴方もどうですかなどと勧められたら、どうしたらよいでしょうか。
2. 補聴供給体制の現状
先づ現在我が国で補聴器がどんな経路で販売されているかを説明します。(図1)
60歳以上で身障等級非該当(聴力レベル35〜69dBの老人400〜500万人は潜在的補聴器候補者と考えられる(60歳以上2800万の14.3〜17.8%とした概算値)
身体障害等級6級以上の難聴成人は42万人(H.8)
*全国補聴器販売店協会 780店
内 認定補聴器専門店368、認定補聴器技能者460人(1998.4)
(参考資料:Fitting vol 11 No2.)