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それをフォローするのが少年団のあり方であり、そのひとつが海洋少年団の使命ではないかと思います。海を通して活動する少年団ですから、海の知識というのは最低限守らなければならない。だからそれはそれとして子どもたちにきちんと教える。同時にいまの社会で生きていくための心の問題もきちんと教えていく。このことが大事ではないかと思います。私も活性化委員会に入れていただいてますが、その辺を見直していくことを提言していきたいと思います。以上です。

 

八木慶男(議長団):私も日本のこの活動に参加していますが、実際にはカナダに住んでおりまして、ちょっと距離があります。私自身は商船の人間で、父は元パイロットでもう死んでしまい、父と話もできませんでした。私は商船関係に入りまして、カナダからこうして見ておりますと、第二次世界大戦の意味というものを考えるわけであります。この規律、しつけといったことを考える場合、海洋少年団の規律はシーマンシップから来ているのですが、これはやはり海軍にそもそも由来するわけです。日本の場合、それはタブーになっているということで、日本の海洋少年団は規律の源を自衛隊に求めるということは憲法の関係でできないのです。ではどこに求めるかということで、韓国や香港も含め極東には武道というものがあります。日本の武道でも非常に精神面が強調されており、またこのようにスポーツでありながら規律を教えるというは野球などでもそうした部分があるでしょうが、規律面ではこうしたところから得ることができるのではないかと思います。私も商船のオフィサーをかつてやっておりましたが、海でどのようにサバイバルするかというのがその目的にはあるわけです。しかし日本では具体的な規律の源が手に入りにくいという実状があるでしょう。

 

仮議長(カナダ):確かに直面する状況や環境は国によって違います。根本的な差異が国によってあるわけです。規律が多すぎるか少なすぎるかというのも各国レベルの問題になるでしょう。各国で文化も違いますから。またコンピュータの使い方なども国によって違います。アメリカと南アフリカでは大きく違う。それぞれ各国の状況を把握して知識なりスキルなり理論なり、実践の優先順位を明らかにしていくべきでありましょう。社会的な価値が実践的な技術より大事なのか。いわゆる船乗りの技術よりも優先順位が高いものがあるかもしれません。

もうひとつの問題、先ほどイギリスのほうからもありました。革命的に大きく変えるのか、徐々に進化していくのかというのは、考えるべき問題でありましょう。21世紀になるからというのは言い訳なんでしょうか。これまでやるべきだったことをあえてここでやろうというのは21世紀になるからなのか、各国の組織が答えを出すべきだと思います。そして、ぜひみなさんが面倒を見ている若い人たちの意見に耳を傾けていただきたいと思います。企業の活動でもそうです。お客様の意見に耳を傾けなければ企業は存続できない。それと同じです。若い人たちの意見を聞いてください。以上、この点に関してまとめてみました。ボリーさん、どうぞ。

 

ヴォルディ・M・バーティ(南アフリカ):非常に興味深い側面がわが国もございます。ここで簡単にご説明したいと思います。過去、黒人の人たちはどのように学んできたのか。彼らは苛酷な環境に育ってきたわけです。生活のために牛追いもしなければなりません。しかし彼らはいろいろと物語を聞かせてもらいました。どういうふうに人間として育つべきか、物語を聞きながらアフリカの若い黒人たちは育ってきたわけです。生活がかかっているので仕事をしなければなりません。ヤギとか牛の面倒を見ながら年上の人たちから教えてもらいました。ですから、少年団には何かを求めて入ってくるわけです。それは規律を求めているのではないかと思います。なぜなら何かが人生で欠落していると考えるからです。ひとつのスピンオフです。彼らが通っている学校というのはこういう違いを見極めている。この子たちはその他の子とは違うと。

たとえば、「サー」を「シー」でなくちゃんと「S」でつづれるとか。がんばろうとしている子どもたちだということです。

 

 

 

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