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長谷川眞人(日本代表):私の立場で少しお話をさせていただきたいと思います。小学校1年、7歳の時に、ちょうど海洋少年団ができた時ですが、親父がかかわっていたものですから、ずっとそれ以来47年間、少年団にかかわってきました。現在は大学で児童福祉のほうを教えておりまして、いま専務からお話があったような逆な意味あいで私の専門的な立場でお話ししたいと思います。福祉の分野からいうと、デンマークやスウェーデン、イギリスなどの様子はみなさんより詳しいと思います。ただ、ここでお話しするのは、日本の今の状態というのは、どうしても11歳、12歳、13歳という日本でいえば中学生のあたる対象から訓練を始めるわけですが、これでは遅いんですね。やはり小学校の1年生2年生、7歳、8歳くらいの子どもたちから、訓練というよりは海の知識を教える。ここが出発ではないかと思います。

海が楽しいんだということを教えて、そして中学生くらいになってもう少し専門的な技術を教えていくという、それで子どもたちがずっとつながっていくんではないかなと思います。その上で、もう一方のほうで心の教育、今子どもたちが悩んでいるような問題をどう解決していくかという、このふたつがセットにされて私は子どもたちが成長していくんではないかなと思います。

大学になるとみんなやめていく、それをやめさせないためにはどうすればいいか。1989年にうちの団が40周年を迎える年にたまたま八木さんとコンタクトをとって高校生17名を連れてカナダのバンクーバーへ行きました。それから9年たちます。小学生が大学生、中学生が大学を卒業する年になりました。彼らは海外へ行った結果として国際交流をしていきたいということで英語を学ぶことになって、留学をし戻ってきて今、6年前から始まった国際交流の少年の船などのリーダーとして活躍しています。こうした一連とした流れがないと子どもたちが先輩を見て、あるいは高校生を見て小・中学生が育つ、大学生を見て高校生が育つというこういうシステムができない限り、私はこういう活動はつながっていかないのではないかと思います。

そういう意味で、子どもが減ってきたということは、大変だけれど、あまりそこばかり重視しないで、いま何をしなければいけないのかということは、小さい頃からある年齢に達するまでどう育っていくかということが大事で、私はいまの時代にあった対応していく必要があると思います。

私の団では、親の会と子どもたちの組織がいっしょに動きつつ、一昨年には南アフリカへ行かせていただきましたが、また社会貢献をしていこうとしています。社会貢献をどうするかについては、子どもたちや親との検討材料になっているんですね。社会貢献で、貧しい国に何か送ろうかとか、そういう時代にあった考え方に変わってきています。一方では、地球環境問題などにもどう取り組むか、いま話題になりつつあります。ある意味でいえば中学生もおり、高校生もおり、大学生もいるというなかでそういう話もできるわけです。ある一定のかたまりの中だけでやっていると、訓練だけで終わったり、知識だけで終わってしまう。心の教育といっても先輩を見てどう育ったらいいか、私はその辺をきちんと見直していかないとたぶん21世紀に、上の方だけ残ったり、下の方だけ残ったりせず、トータルに残っていくシステムをつくっていかなければいけないと思います。

今すべきことは現実問題にきちんと対応するということと、未来に向けて子どもたちが楽しめるプログラムをつくっていくということが非常に大事ではないかと思います。それが今、日本の中では非常に欠けている。なぜ欠けているかというと、受験勉強にばかり比重がかかっているので、勉強勉強で明け暮れてしまう。ところが大学へ入ったらもう勉強しないんですね。アルバイトをして旅行するという、それで終わってしまう。就職が迫ったらあわてて次の道を選ぶという。こういうシステムになっている。

 

 

 

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