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15のグループそれぞれが小トピックというかたちでさまざまなトピックをまとめていったことにより、非常にたくさんのテーマやトピック、アイディアを出すことができました。また、たとえば、情報システムなり、募集なり、またPR・広報関係なり、募金関係なり、またリーダの構成員としての軍といったそれぞれのペーパーごとに、グループで検討していったわけです。そして、少年団員に対して、伝統的な海洋関係のトレーニングをし、また社会における市民としてどんなことをトレーニングすべきか、環境問題やコミュニケーションなど、そうしたことを検討していったわけです。これが実は、それぞれのスタディグループでさらに検討して、そして評価がなされ、実際に実践的なアイディアに変えていく、そうしたまとめを行ってまいりました。

そこで何か変更すべきか検討し、変更する利点がなければやめ、利点があれば追究するという姿勢で臨みました。こうしてビジョンが最終的に出てまいりました。少年団員の使命、その主要な部分だけを申しあげたいと思います。主要なビジョンステートメントといたしまして、将来の少年団員におきましては、常に変化することは必ず行わなければならない。つまり進化すること自体が少年団員の使命でもあると。進化すること。そういった精神を持つこと。そして、それに対応していくことが重要であると。

これが使命として出てきたわけであります。ですから、変化を迎え、そして変化すること自体が自分たちのプロセスの一部であるというふうに考えているわけです。ということで、それを基にいたしまして、政策、方針というものを打ち立てて実践する予定です。

 

仮議長(カナダ):たいへんよいまとめだったと思います。では、日本に戻りましょう。日本からは非常に適切に先ほどまとめてご説明いただきました。どういう課題を日本では抱えているのかという点をすでにお話しいただきました。いろいろな提言が各国から出されたわけですが、今後、日本のさまざまな課題に対応していくにあたりまして参考になりましたでしょうか。アメリカのほうから中核的な価値観というような指摘がありました。単に海における要素だけではありませんで、規律とかチーム精神とか、そのような価値観、精神、重要性がありましたが、日本の活性化対策委員会のほうで参考になりましたでしょうか。

 

柳田幸三(日本代表):各国の実状や取り組む姿勢をいまお聞きしたわけですが、それぞれ海洋少年団の生まれ育った過程が異なり、日本が特殊な事情を持っているのかもしれませんけれど、大変性格が違うという第一印象を持ちました。日本では、軍との関係というのはまったく切れております。したがいまして、各国そのものが、ボランティアで活動しているのが現在の実態でありまして、サポートしてくれるのは、運輸省とか文部省というかたちになっておりますけれども、各地区で支援できる実力がございませんので、戦後生まれた海上保安庁という、海の警察機関の援助を受けているのが現状でございます。

その機関も一定の距離をおいておりますので、ほとんどがボランティア活動でございます。したがって、それぞれの団は、財政面から、人の面から、大変苦労している状況でございます。海洋少年団でいちばん大事なのはしつけ、訓育問題だと思っておりますけれども、これをあまりにも強調しすぎると子どもが逃げてしまう。きびしさに耐えられない。ちょっときびしいしつけ教育をやると逃げてしまう。しかし、しつけをなくしたら海洋少年団の存在意義がなくなってしまうというジレンマに立っているところでございます。昨年私はたまたま韓国での第6回青少年フェスティバルに子ども15人を連れてまいりましたけれども、私が当時もっていた海洋少年団のイメージとあまりにもかけ離れているので、実際問題として愕然とし、これがほんとうに海洋少年団なのかなと、しつけがあまりにもできていない。これは日本の社会の実状を反映しているのだと思いますけど、残念ながら日本の海洋少年団は大変な危機に陥っていると、私は思います。で、これを打開するために、これから検討していくわけでございますけれども、各国の海洋少年団の置かれている立場と、日本の置かれている立場では若干差があるのかなという気がしておりますが、各国の意見も今後の検討の参考にしてまいりたいと思っております。

 

 

 

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