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長い髪で汚いジーンズをはいてためらっている子どもがいたんですね。私は彼のところへ行って、入りたければどうぞどうぞといったんですけど、その時はまだ積極的な姿勢はなかった。私にどうやって応対していいかわからなかったみたいです。「サー」とまでは言わないまでも。でもしばらくまだその場にいるんですね。そうしたら少年団員のひとりが彼のところへ行って、結局はグループの中に入れたんです。ですが、こんな小さなストーリーのなかで、子どもというのは3年ぐらいかけていろいろ面で発達してくると思うんですね。3年前は小さな声だったのが、3年たつと高らかに規律正しく行う。最初の頃は、どうやっていいのかわからなかったという面はあっても、そうなって来るんです。少年団員の中の子どもたちに、おもしろいか? 何か学んだことはあるか? あるいは、プログラムの中で何がよかったかと質問しますと、簡潔な答えはなかなか返ってこないのですが、ただ順々にそうした質問をしていきますと、ほんとうにベストだったものは規律だったんだということがわかります。

 

仮議長(カナダ):たいへんすばらしいストーリーをおっしゃっていただいたと思います。私たちがたどり着かなければならないところを示唆していると思います。質問をしてそれに対してきちんと答えられるような青少年が、無関心になってプログラムの中に入って来れなくなるようなことがあったら、それは私たちに何らかの問題があるんだと思います。青少年は私たちが考える以上に賢明だと思います。ですから、それに対する機会を提供することをしなければなりません。私たちの海軍に来ている少年団員は、コンピュータに関しても知識が身につくし、その他の技能も身につきます。大学ではどんなコンピュータを使い、どんなソフトを使うといった知識を持っていますから、私たちの教育でもそうした点を考慮しなければなりません。団の中でも、また団間におきましても、互いに競争してよりよいものを出してくるということが必要だと思います。カナダの少年団に関しまして、いったいどのような方向性をとっているかということで、ちょっと紹介していただきたいと思います。

 

M・チャーチャー(カナダ代表):すでにいろいろな人のコメントが出ておりまして、いろいろな問題が青少年にあり、かつまた少年団員に関しましてもいろいろな課題があり、日本のほうからもやはり問題が指摘されました。いかに活性化するかということに関しまして新しいアプローチを模索し、さらにプログラムの進化ということについて説明がありました。そういったプロセスというのはどこでも始まっているのだと思います。少年団員の海事、海洋に関する訓練は共通のテーマとしてあるわけです。ただし、今後はビジョンとして魅力ある訓練と思えるようなものを提供し、社会的な背景の中でアピールできるような若い人たちにとって魅力あるものを提供し、この運動に人を集めなければいけないという点があると思います。

カナダでは、カナダ海軍、ネイビーリーグが海洋少年団のプログラムのスポンサーを行っております。また、空軍や陸軍に関する少年団もあるわけです。カナダ軍全体として、ワークショップというかたちで半年前にいまの質問ということで調査をいたしました。つまりそれぞれのこの運動に関心のある人すべてが集まったわけです。たとえば、空軍から、またカナダ軍全体、少年団、リーグ、スポンサー団体、あらゆる団体が一週間のワークショップに参加しました。ちょっと離れたところだったんですけれど、そこで合宿しました。まったく平等な立場で話をしたわけです。その目的は、テーマなりアイディアなり、いったい何が足りないのか、いったいどの分野を充分に対応していったらこれから発展できるかということを考えたわけです。いろいろポインターワークショップといぅことで、小グループに分かれて検討していった結果、いわゆる誰かがアイディアとして考えたものを書き出すことにしました。一週間、いろいろ話した中でアイディアとして書き出したところ、131の推奨案が出て、そう中から勧告案が出ました。

 

 

 

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