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ある極端な意見は、もう海洋少年団は社会的な役割を終わったんじゃないかという意見さえあるわけです。もし社会的役割が終わったんであれば、21世紀の姿を求めても支えきれないという状況でございまして、そういう意見もなかにはあるわけです。しかしながら最近の状況を見ますと、日本の社会というのは、子どもたちが大変悩んでおります。ひとつはいじめの問題。いじめられた子どもが自殺をするというケースが増えております。子どもたちの犯罪も大変増えております。ナイフを使って同級生を殺傷するとか、あるいは先生を殺傷する。場合によっては警察官さえやるというような子供も増えております。また、覚醒剤なども低年齢化している。いま日本の子どもたちは非常にきびしい状況に置かれています。

したがって、日本政府としては、頭の教育より心の教育というものに力を入れだしたわけです。心の教育といえば、まさにそれを受け持つのが海洋少年団だと思っております。したがって、きびしい状況にありながらも、社会的には海洋少年団に対する期待は高まっているときであります。あと2年で21世紀、そして3年後には日本の海洋少年団は50周年を迎えます。まきに社会的な期待の大きい時期であるにもかかわらず、それを受け入れる海洋少年団自体が、非常に弱体化している。こういうなかで21世紀を迎えるわけでございます。したがって21世をどう生きるかということで、この秋から部内に活性化対策検討委員会というものを設けまして検討してまいるわけでございますけれども、日本にこういう言葉がございます。「子どもは社会を映す鏡である」。要するに子どもがやっていることは、大人のまねをしているのであって、子どもが非常にきびしい状況に置かれているということは、大人がそういう状況をつくっているのでないかということで、大人が変わろうじゃないかという運動もしている最中でございます。

これからの海洋少年団、これは私個人の考えでございますけれども、21世紀の海洋少年団の姿と申しますと、先づ科学技術に関心を持たなければいけない。バブル経済によって多くの大人たちは安直に収入が得られる手段に走りまして、将来を見据えた地道な科学技術というものを敬遠してきました。したがって、これからは子どもに科学技術への関心を持たせなければいけない。それから地球環境問題に真剣に取り組んでいかなくては、21世紀のきびしい地球環境問題、食糧問題、それからエネルギー問題に対応できないだろうと、さらに、国際社会に貢献できる人材を育てなければならない、そして、心の教育というものを海洋少年団が真剣に取り組んでいかなければいけない、というのが、私の21世紀の海洋少年団のあるべき姿だと思っています。そのためにどういう具体的な手段を取っていくのか、それについてはこれから検討委員会で議論していきたいと思います。できれば本日この場で、どうすれば理想的な海洋少年団になれるのかを示したかったわけでございますけれども、時間的にそれが出せなかったということで、みなさんのご意見をいただきながら、新しい日本の海洋少年団の姿を求めていきたいと思っています。

 

仮議長(カナダ):ありがとうございます。たくさんおっしゃっていただきまして、どのようにまとめていけばいいかわからないですけれども、私が感じましたのはいろいろな変化が起こっている。日本国内でもいろいろなものが変わってきているということですが、さらに海洋少年団の役割を、具体的な役割というより一般的な役割を果たす組織としてどのように変えていくのか考えていかなければなりません。私は航海者として、目的地がわかっていてもどのように行くかという術がわかっていなくては、進めません。

 

 

 

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