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国際募金計画の研究

 

(日本:八木代表)

スウェーデン会議では、募金活動というのは、カナダのスチュワートさんから指摘がありましたように、個々の国がやるべきことであるとして、優先順位があまり高くないということになったわけです。そこでもし、皆さんの国で、募金活動を成功に進めていることがあれば、スチュワートさんの方へご報告いただきたいということなのです。私の方では、私共の協会がカナダで1470万ドルの募金をやっていますが、これに関する基本計画をまとめてみました。先ず、私の経験によりますと、募金活動というのは、一つのビジネス取引ではなく、一つの芸術活動のようなものであります。第一に相当努力しないと全くお金は集まらない。受ける側の条件と支払う側の条件を一致させなければならない、そうしなければお金は集まりません。基本的なこととして、受け取り側としては、どんなプロジェクトなのか、きちんと提示しなければいけません。募金活動には、一つは、重要なプロジェクト、二つ目は基金、三つ目は特定のプログラムに対するものと、三つの種類があります。

実際供出する側に関しましては、国際的な政府機関、国内の政府自体若しくはその省庁、財団とか慈善団体、企業及び個人、という5つの供出源があるわけでして、どの機関がどのような資金をもっているかということ、夫々の機関の設立にはそれなりの目的、理由があるわけで、それに従って資金が提供されることになるわけです。先ず、この辺を事前に良く調査すべきことであります。その資金は、特定の目的に沿って出しているわけです。

また、どういう活動に対して資金が出せるかという制限もあります。

日本の例ですが、多くの財団は、特定のプログラムにしか資金を出しません。カナダでも、この制限は当てはまるわけでして、例えば、モンタリオの方ケベック州にも財団は色々ありますが、これらの組織は、ケベック地区に制限されております。すなわち、地域的な制約が多く見られるわけです。

受け取る側ですが、ISCAといたしましては、基金を確立するあるいは特定のプログラムを開発するということを考えるべきでありましょう。それによって資金が集まる可能性が高まるわけであります。ISCAあるいは個々の国々が、適切な目的をもって適切な資金提供源にアプローチをするということで、資金調達をすべきでありましょう。一般論といたしまして、機関投資家といいますか、お金を出すところは、非常に厳しい制約を持っております。そのプロジェクトの詳細な情報が必要となります。きちんとそれがどういうものか説明しなければいけない。それから、前年度の財務諸表を持って行かなくてはいけない、さらに、定款、役員リスト等の情報が求められます。

それから、独自のプロジェクトに真剣に取り組んでいるところからの申請を歓迎するということがあります。ですから、自分が20%程度負担するという、自分のコミットメントを明らかにするべきであるという、そういう姿勢が好まれます。

それから、個人の資金提供者ですが、そのお金を出すに当って制約はあまりなく、もっと感情的なアプローチでありまして、確固としたその哲学がある。ですから、プロジェクトの性格、また実際の事業主体、あるいは個人の実際に取り組む姿勢、説明責任等をみまして、パーソナルなアプローチで資金が提供されるということです。

多くの場合、信頼関係が個人間に成立して初めて資金が出るわけです。

ISCAといたしましては、自分達が真剣にそのプロジェクトに取り組んでいることを示さなければなりません。

 

 

 

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