日本財団 図書館


表2 曲げモーメントと塑性モーメントの計算結果

051-1.gif

 

6. 結び

本文により塑性モーメントに対する設計法が明らかになり、軽構造船暫定基準を使用する場合任意のテーパー付き板の寸法を選定出来ることが判った。平板と同一強度を持たせて重量軽減を図ることが出来る。但し、問題点としては平板の場合スチフナー端で第1塑性ヒンジが出来ても板の中央部にヒンジが発生するまでは崩壊には至らないのに、テーパーの寸法をスチフナー端と中央部とで相等しい塑性ヒンジモーメントにすることによる最適化を図るとすれば、塑性モーメントが直ちに崩壊モーメントになる恐れはあるし、中央部の塑性モーメントに若干の余裕を持たせても塑性設計の考え方からすれば安全率の低下は免れないことになる。
この辺はルールの基本的考え方に遡っての考察が必要であろう。但し、筆者の知る限りではこの考え方を採用して設計された高速艇の船底外板などに使用されたパイ・セクションに損傷が発生した例は承知していないから、略々妥当と見てよいと思っている。実際の設計には一々この計算を実行しなくて良いように標準化することが望ましい。以上稍冗長な説明になったが、高速艇構造の合理化に少しでも寄与出来ることを念じて結びとする。

 

7. 参考文献

1)金子幸雄:船舶とアルミニウム合金、長崎総合科学大学工学研究所所報第6号、1993年3月

2)金子幸雄:不等厚板の設計法、長崎総合科学大学工学研究所所報第7号、1994年3月

3)日本小型船舶工業会編:アルミニウム合金製建造指導書 設計編

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION