現行の規則は高速船構造基準(以下高速船と略記)、軽構造船暫定基準(暫定基準と略記)と軽構造船基準案の3種が公布されているが、最後の規程は現実には使用されていない。従って前二者を対象にすれば十分である。「高速船」は長さ50m以下、「暫定基準」は24m未満の高速船に適用される。前者の強度計算の基本は弾性計算であり、後者のそれは塑性計算を基本にしている。従って、許容応力は前者が低く、後者が高く取ってあるが、強度計算に使用する設計荷重もこれに対応しているから、結局は算定部材寸法に両者間で大きい相違があるわけではない。ここで両規則の対比を論じる積もりはないが、それぞれの規則が制定された当時の状況を反映したものと云える。強いて云えば、「高速船」の方が国際的には通用し易いと云えるであろう。
以下両規則を適用した場合のこの規格の使用例を示して解説する。すべての構造部材を取り上げる余裕はないので、 ここでは最も外力の厳しい、衝撃荷重を受ける船底外板のみを取り上げる。
2.1 高速船構造基準の例
「高速船」の板部材の厚さは、アルミニウム合金の場合