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2.2 TBT協定の概要

(1)貿易の技術的障害に関する協定(TBT協定:Agreement on Technical Barriers to Trade)は、WTO協定の附属書1A(物品の貿易に関する多角的協定)にある13の協定のうちの1つである。

 

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(2)TBT協定は、1997年4月に国際協定として合意されたGATTスタンダードコードが1994年5月にTBT協定として改訂合意され、1995年1月にWTO協定に包含されたものである。従来、GATTスタンダードコードの締約国は任意参加であったため43カ国であったが、TBT協定がWTO一括協定となったため、TBT協定はWTO加盟国全部に適用されることになった。

 

(3)TBT協定は、工業製品等の各国の規格及び規格への適合性評価手続き(規格・基準認証制度)が不必要な貿易障害とならないよう、国際規格優先の原則、規格作成の透明性の確保等を規定している。

 

(4)各国は、国家規格の基礎として国際規格を採用することを基本原則にしている。ただし、気候上の又は地理的な基本的要因、基本的技術上の問題等の理由がある場合は、例外とされている。

 

(5)規格には、強制規格と任意規格があり、強制規格とは、各国の法律等で規格の適用が義務づけられているものである。

任意規格とは、品質の改善、生産の合理化、取引の単純公正化、公共の福祉の増進のために、関係者のコンセンサスにより策定される適用の義務はないものである。

 

(6)TBT協定は、強制規格、任意規格のいずれの規格にも適用され、任意規格である団体規格も対象となる。

 

(7)任意規格の遵守事項

任意規格の立案、制定、適用については次のように規定されている。

□ 加盟国の標準化機関は、TBT協定の附属書3(適正実施規準:Code of Good Practice)を受け入れ、かつ遵守すること。(第4条1項)

□ 適正実施規準を受け入れかつ遵守している標準化機関は、TBT協定の原則に従っているものと加盟国より認められる。(第4条2項)

 

(8)TBT協定では、加盟国の義務として1]中央政府標準化機関による任意規格(JIS等)の立案、制定等は通報・公表する直接義務(一次義務)があり、2]地方政府及び非政府標準化機関による任意規格の立案、制定等は通報・公表する間接義務(二次義務)がある。

また、団体規格等を立案、制定している非政府標準化機関に対しては、適正実施規準 (Code of Good Practice)を受け入れかつ遵守することを確保するため、利用しうる妥当な処置を加盟国の中央政府に義務づけている。

 

 

 

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