日本財団 図書館


本規格には、これらの危険性を考慮した説明または装置配置等の詳細は無く、実際に試験を要求事項を確認する為の必要最低限の内容しか記載されていない。JIS化においては、この試験内容については本文の通りで問題ないと考えられるが、安全に対する注意を促すため、安全隔壁及び装置セットアップの注意事項を解説等に記載する事を提案する。

 

4)試験体の温度測定について

JIS F 7151(ISO7840)規格とSAE J-1527規格(以下SAE規格と記す)を比較すると、大きく違う点は試験体の温度測定と試験温度の設定にあると言える。ヘプタンの燃焼は、比較的大きく安定しているものの、炎の上がり方にはゆらぎが有り、炎の上の試験体の温度はその炎の状態によって、大きく変わる。今回の試験状態においては、図-2の試験条件における炎の温度(試験体がない状態)に示す様に、試験開始から20秒から30秒にて温度650℃に達しており、その後750℃から850℃の温度で推移しており、約3分で鎮火しているのがわかる。これを150秒の試験時間で考えると、ヘプタンの燃焼が試験時間の80%の間有効に供試品に達している事を示していると言える。本規格には規定が無いが温度測定を実施しておくことは、試験装置の燃焼条件を決定する上で、有効な手段と言えよう。JIS化においては、温度測定要件を推奨事項として解説等に記載する事を提案する。

また余談ではあるが、今回の検証試験の温度測定結果より、JIS F 7151(ISO7840)規格に規定する「試験時間の少なくとも75%の間試験ホースが完全に炎にさらされている事」という燃焼条件は、SAE規格に規定する「試験温度650℃以上に達しなかったら再試験」という燃焼条件よりも厳しい条件を要求しているものと考えられる。何故ならば、この温度条件はオイルパンの置く位置を変える事により大きく変わってくる事が、試験に先駆けて実施した予備試験でも判明している。すなわち、オイルパンの位置を変えて、試験体温度が650℃以上になる位置にて試験を実施しても、SAE規格では試験は有効である。よって、本規格に規定する燃焼条件を忠実に実行する為にも、試験装置セットアップ時の温度測定は有効と考えられる。

但し燃えやすい試験体の耐火試験において、この温度測定データを利用に対しては問題が有ると言える。燃えやすい試験体においては、例え炎の温度が650℃以上の高温に達して無い様な試験においても、温度測定位置を試験体近傍としている為、真のヘプタン燃焼の炎の温度でなく、燃焼している試験体自体の温度の方を測定してしまうケースが有り得る。これは温度測定がすべての試験体に対して有効でないケースも有るという事実であり、注意事項としてここに記す事とする。

 

5)「draught free」の試験環境について

今回の試験では、「draught free」の条件としては、一般的に化学実験や火災試験時に使用されるドラフトチャンバーなどのように、供試品の周りの風速が0.5m/s以下の換気条件(慣例及びSAE規格と同等条件)と考え試験を実施した。しかし、換気装置を使用せずに全く風が無い無風状態時の条件について追加試験を行い、その有意差についても確認した。この確認試験

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION