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4. 試験結果

 

試験の結果を、表-2に示す。

試験条件における炎の温度(試験体がない状態)を図-2に示す。

又試験時の試験体近傍の測定温度を図-3から図-7に示す。

試験体の取り付けの様子、試験時の試験体の様子および試験後の試験体の様子を図-8から図-32に示す。

Type-Aの試験体は平均127秒にてホース接続部からの漏れを発生しており、規格を満足できない。接続部を耐熱ガラステープで保護する事で、本規格の耐火試験をクリアできたものの、接続部の改善を含めての検討が必要と言える。

Type-Bの試験体は70秒にてホースの切損により漏れを発生した。ホースおよび接続部全体を耐熱ガラステープで保護しても、耐火試験時の熱によりホース本体は炭化し割れ、燃料漏れを発生しており、規格の要求性能からは、ほど遠いものだった。

Type-Cの試験体は平均105秒にてホース本体からの漏れを発生しており、規格を満足できていない。試験はサンプル数3にて確認したが、漏れ時間のばらつきは比較的小さいと思われる。また、ホースおよび接続部全体を耐熱リボンで保護する事で、150秒間漏れを防げたものの消火後漏れが発生した事からも、ホース本体の耐火性能に問題があると言えるだろう。

Type-Dの試験体はJCI規格品ではあるが、平均108秒にてホース本体からの漏れを発生しており、耐火性能においては本規格を満足できるものではなかった。本規格とJCI規格品との要求性能に大きな違いがある事が判明した。

Type-Eの試験体は今回の試験において、唯一本規格の耐火性能を満足できそうな製品であった。しかし、5回の試験のうち1回が150sの試験時間をクリアできていない事からも、本試験体の耐火性能はJIS F 7151(ISO7840)規格要求ギリギリと推測される。

 

5. 考察

 

本試験の実施によって以下の事項が確認された。

 

1)JIS F 7151(ISO7840)規格の実施について

規格に記載の耐火試験装置及び試験方法に従い、舟艇用耐火性燃料ホースの性能確認試験は実施可能である事が検証された。各サンプルに対しての試験回数3回についてもデータの大きなばらつきも少なく、また類似規格(SAE J-1527)などと比較しても同等であり妥当と考えられる。

 

2)現在使用されている燃料ホースの耐火性能について

各舟艇メーカーにて実際に使用されている燃料ホースの耐火性能については、耐火性能が低く、本規格に合格するものは少ないのが実情である事が判明した。

 

また、今回の試験を通して、得られた考察及び知見を以下に示す。

 

3)試験装置の安全隔壁の必要性について

耐火試験時のヘプタンの燃焼はたいへん大きく、危険を伴うものであると言える。特に、耐火試験対策を施していないホースを試験する場合は、試験中にホースが破損し、同時にホース及び配管類の燃料が一気に流れ出して着火する為に、非常に危険である。今回1.8mx0.9mの不燃ボードを隔壁として組み立てていた為に大きな事故は無かったものの、試験においてはホースが破裂して飛び散った燃料に着火し、配管部等に炎が廻る事はしばしば発生した。試験環境には可燃物が無い場所と消火に対する十分な準備が必要である事を痛感した。

 

 

 

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