の発生は、図2の3、すなわちσmaxの位置から始まること、などがわかった。
以上の結果が意味するところは、一般の金属材料ではτδmax、すなわち最大せん断ひずみエネルギを繰り返し受ける部分から疲労破壊的に摩耗粉が発生するということである。
[1.4] 玉軸受のフレッチング摩耗
上記の考えは、弾性接触状態で回転する玉軸受にも適用できる筈である。玉軸受の接触面に生じる微小すべりには2種類があり、一つは前掲の式(1)における「すべり」、すなわち、ミンドリン・スリップ(Mindlin-slip)であり、他の一つは、ヒースコート・スリップ(Heathcote-slip、玉が内外輪の溝を転がるときに生じる接触面内の微小なすべり)である。
玉軸受の軌道面に作用するτδmaxを求めた結果を図3に示す。横軸x/aは弾性接触円(楕円)内の位置を示し、0が中心、±1が両端部を意味する。図中の実線はミンドリン・スリップによる値、点線はヒースコート・スリップによる値である。パラメータμは摩擦係数であるが、いずれの場合もτδmaxは接触面の両端部付近で大きく、また、ヒースコート・スリップの方がミンドリン・スリップよりも大きいことを示している。
ヒースコート・スリップによるフレッチング損

Fig.3 Distributions of τδmax on the surface of contact caused by Heathcote-and Mindlin-slip.・・・・・・:caused by Heathcote-slip.-:caused by Mindlin-ship.

(a)

(b)
Fig,4 Fretting wear on the inner race of ball bearing caused by Heathcote-slip.Normal load:980N.Frequency:10Hz.Fretting(Swing)angle:0.8°.Number of fretting cycles:(a)2×102,(b)104,Without lubricants.
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