2. 講演概要
本講演の題目は「フレッチング摩耗の基礎的諸問題と防止法;舶用機関工学における信頼性を高めるために」(Fundamental problems of fretting wear and methods to overcome them; for improvement of reliability in marine engineering)である。
舶用機器システムや部品等を含めた舶用機関工学全般の信頼性の向上を図る上で厄介な問題の一つとされているフレッチング摩耗-振動を受ける接触面に発生する表面損傷で、通常、弾性接触面で起こることから、一般のすべり摩耗と区別されて難解な現象と考えられている-について基礎的問題を中心に発生メカニズムと防止法を概説した。
本論に先立って、筆者が三井船舶(株)のエンジニア時代に出会ったエンジンの重大事故が転機となって摩耗研究の世界に入ったこと、第2の転機が英国Nottingham大学・Waterhouse博士との出会いであり、爾来、フレッチング摩耗研究の学徒となって約20年が経過したこと等を述べた。