〜会場から〜
佐藤:3つの話をしたい。
一つはラーニングバケイション。JTBが「るるぶ」とおっしゃっている領域。いままでの観光は、語るという楽しさ、汗を流す、はなかった。水俣で楽しんだとかおいしいモノを食べては、何か患者の方に申し訳ないと考えてタブーにしていた。実際にきてみたら、自分が何十年もこだわっていたことが解けた。分業ではなくて、ホリデー感覚の旅、田舎へ帰る旅。栄子さんは「海は私の治療の場」とおっしゃっていたが、心身のヒーリング。帰る結ぶ直る。
ツーリズムをビジネスにするにはどうするか考えてきた。水俣ならではの本質を考えて、水俣を世界遺産に登録したらどうか? アウシュビッツが世界の文化遺産であるが、近代文明の普遍的な問題を水俣はつきつけた。お金や効率がいかなることを招いたか? のたうちまわった水俣、私は見れなかったが、突き抜けてどうなったか?我々がなくした美しい海がそこにはあった。われわれが失ったものを大事にしている。文化的な負の遺産。ナチュラルヘルテェイジもある、ベトナムのハロンベイに劣るモノではない。世界に希望の、絶望を通した希望の地として登録運動をやる。水俣の特別なよさをアピールできるのではないか。
阿蘇の環境は1000年来の農民が作った。阿蘇と水俣をジョイントさせたい。ハードな施設を作らないで、海と草原、山と川、多様なメニューの組みあわせ。「海のもんと山のもんがつながれば、マチはどげんかなる」という杉本さんの発言がすべてだ。水俣は文化と自然の複合遺産。その窓口作りも必要。希望の海に漕ぎだしていこう、ハードを作らなくても修学旅行に対応できる。水俣は用意がある。
牧下:最初の弁当というのが全部水俣のモノで作ってあると聞いて、これからの旅を期待させてくれるわくわくしたものでした。昨日昼と夜も満足だった。1日めの夕食と翌朝の飯、ちょっとだけ残念。福田農園の食事は、東京でも食える、どこでも食える。旅館の朝食もそうだった。水俣ならではなかった。前食べたものとのギャップがあった。食べ物が旅では強烈に残る。マスとしての観光とどう違う設定をするのかが大事だ。グリーンツーリズムでやるんだったらこだわりが必要。
杉本栄子:水俣弁でしゃべらせてもらった。私たちが水俣病になって思ったことは、職業として漁師を選ぶとするととてもきついモノだ。魚たちと海で出会う。イルカに海で会う、止まると止まる。ウォッチングは私たちにも退屈だし、魚に迷惑。みんな一緒。みんな平等に扱いたい。水俣の海にチリメンもいますし、イルカもいます。何月くらい行けばシロゴに会うとやろか、タチに会うとやろか、そしてイルカたちに会うとやろか、と計画して1年中一番暇な時に来て貰って、出会った時がノサリだ。私たちも楽しいし、来てもらったお客さんたちにも退屈せずに遊んで貰うことができれば、本当に水俣のよさをもっともっと知ってもらうとじゃなかろうかと思ってます。どうぞ、こんだあ3日間え見られないところが1年中のところにいっぱいありますと水俣には。どうぞノサリが会うように祈りながら来て下さい。ありがとうございました。
高橋:感じたのは、住んでる人の生活とのかかわりをどう考えるか?ビジネス、あるいは修学旅行、これをどういうふうに考えていったらいいのかな?行政ですので、私たちある程度形を作っていかなければいけない。先ほど行政は動きが鈍いという話がありましたが、いったん動き始めると止まらない。そこらは気をつけなければいけないと思った。