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●基調報告2〜定年帰農者の実態について〜

 

<杉浦剛>

布土の自然は、砂防林と保安林のおかげで雑木林が守られてきました。気候は温暖で冬でも野菜が獲れるため専業農家の私は、年中暇なしです。昔は、ため池農業でしたが、昭和36年愛知用水が開通し、ポンプアップシステムが完了し、今はほとんどの田畑に蛇口をひねれば放水できると言う風に恵まれています。11年前に基盤整備があり、保証も含めると75haの田と20haの畑、みかん畑は5町歩くらいあるのではないかと思います。みかん園の多くは現在使われておりません。そういう中で現在布土は約800世帯で農協の組合員さんは更に減って約250軒です。専業農家は私を含めて3軒ほどです。

そんな中で、約50人の定年帰農者が現われました。一番変わったことは平日に田畑に行っても誰かがいると言うこと。にぎやかになったと言うことです。お茶を飲みながら話したり、いろんなことができます。このなかに専業のように他人の食糧を作っている人が15人もいる。その方たちは退職金と年金を頂き、60代でばりばり働いています。なおかつ過去に農業の体験があって技術の蓄積があることが強みになっていて、働き者がそろっています。

対照的に会社勤めを辞め、生きがい農業を純粋にのんびりと自分たちの食べる分を作っている人も出てきました。基盤整備の時には、畑が荒れてしまうのではないかと、危倶していたのですが、ほとんどが荒れた畑のない状態です。これが私は布土の一つのモデルケースになるのであろうと思います。と言うのは役場の方は、基盤整備を始めましてから、畑地振興をどうするかと言うことで頭を悩ませていたかと思いますが、ここに布土のこういう形で農地がきれいになって定年帰農者が本当に生き生きとやっていると言う実態を私の報告に代えさせていただきます。

 

3.報告会

 

〜水のゆくえ調査〜

 

<吉本哲郎>

水のゆくえマップを作成するために生活の基本である水の流れを歩いて調べてみました。水は、あらゆる生物が必要とし、人間の生活の基本。美浜は古くから農業用水で苦労してきたため、ため池が発達していました。しかし、昭和36年の愛知用水の完成により、用水の取り入れが非常に楽になりました。

水は地下水として浸透し、森林を豊かにしています。ヒサカキ、スギ、松、椎木、カクレミノ…の植生も山林の姿も変化しつつある。

現在、飲料水は長良川の加工から取水されて各家庭に送られています。

昔は簡易水道であり、その跡地に行こうと思ったが荒れていて行けませんでした。水をきれいにするのも汚くするのも人間。もう一度水の使い方を考えてみたいと思います。

 

 

 

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