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(佐藤)都会の人が田舎に入ったときにトラブルにならないためには、都会暮らしと田舎暮らしは全然別のものだということを認識しておく必要がある。いきなり入る前に、いろいろなことを勉強し、ステップアップしていって欲しい。グリーンツーリズムや農家民泊、農業研修などを体験してはどうか。週末田舎暮らしもよいのではないか。これなら大文夫かなと思ったら、移住すればよい。

 

(司会)大山さんの提案、佐藤さんの提案は、田園生活を始める、一つのきっかけになる。他にも、さまざまな方法があると思うが、まず、何事も行動してみないと分かりませんから、やってみて考える方がよいのでは。最後に一言づつ、パネラーの方にお願いしたい。

 

(竹越愛子)住み始めると方言の問題がある。八郷町では、おじいさん、おばあさんのことも、おじさん、おばさんと呼ぶ。また、「明日、あさって、やのさって」となる。言葉のサポートもいるかも知れない。

 

(竹越秀和)木工など、ものづくりで暮らしていくのはとても大変。経済的な価値観を180度変える必要がある。

 

(合田)八郷町に住み始めた頃、長男は中学3年だったが、今では、自分で農業をやっている。これから田舎暮らしを始めたい人に一つ提案がある。田舎での履き物は「地下足袋」。地下足袋を素足にはいて、土の上を歩いてみると、大地の感触が直に伝わる。それを心地よいと思えたら、田舎暮らしは合格だろう。

 

(浜)私も、東京で3日アスファルトの上を歩いていると、土を踏みたくなる。田舎暮らしを始める方は、無理せず、少しずつはじめて欲しい。価値観は一人一人違うのだから、何が自分のアイデンティティなのかよく確かめて欲しい。

日本には、鎮守の森がある。こうした心のよりどころを大切にして欲しい。田舎に暮らしていると、土、水、空気、人の心の温かさなどにつつまれて生きているのだということを実感する。

私が田舎暮らしを始めた30年前には、全然情報がなかった。今はいろいろな情報もある。まず、自分でできるか、チャレンジしてみることが大切。

 

(竹田)これから田園生活を始める人は、無理をしないで、少しずつ挑戦してみて欲しい。私たち自身の手で、浪費型の生活を農的・自給的な生活に変えて、環境を守っていこう。高齢化、過疎化で悩む里地からのラブコールにどう応えていったらよいだろうか。ただ田舎に住んで自分だけが満足するのではなく、地域のコミュニティを一緒につくっていくことが大切なのではないか。農村の中で、「循環」「共生」「参加」型の社会を作れたらすばらしい。子供達に残せるような、そういう社会をつくっていきたいと思う。

 

 

 

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