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(佐藤)宝島社で、「田舎暮らしの本」を編集している。創刊から10年たつが、田舎暮らしに関心のある人は増えている。大きく2グループがあり、一つは若い人たち(20〜30代)が子供を育てる環境や家族の健康を求めてぺンション・農業等を始めるもの、もう一つは団塊の世代が定年後に田舎暮らしをはじめるもの。最近では女性がグループホームを作って田舎暮らしを始める例もある。読者が求める情報としては、まず物件情報で、北海道、信州等は問い合わせも多く情報も多い。借家がないかという問い合わせも多いが、実際あまり借家はない。事例研究も重要で、特に、旦那が主導型の場合に奥さんがいやがって失敗するといった例が多い。田舎暮らしを楽しむために、石臼を使ってみようといった実践ノウハウも知っていると生活が豊かになる。スタート時期は人様々だが、いつまでも待っているとなかなか実行できない。まずは、短期間でも試しに住んでみてはどうか。

 

(竹田純―)後半は、どのような点に注意したら田園生活がはじめられるのか、これから田園生活を始めようという方に、課題を中心にお話いただきたい。

 

(竹越愛子)都会では何でも行政がやってくれるが、道路の舗装や消防団など、田舎では住民が自分たちでやっている。住民が目に見えない形で支え合っている社会。このため、こうしたことに協力せず、山菜採りだけ楽しんでいると、周りの人から冷ややかに見られる。

 

(竹下秀和)うちは、雑草が生えていても気にならず、除草剤も使いたくないと思っているが、周りの農家はきれいにしている。先日、篠竹の地下茎が、うちから、となりの畑に侵入して困るので、薬をまいて欲しいと言われた。こちらがエコロジカルな暮らしをしたいと思っても、周りの人に迷惑になってしまう場合もあり難しい。

 

(合田)村に入って失敗するのではないかと心配しているかもしれないが、あまり完全主義でいかない方がよい。うちも先日、部落の結婚式をすっぽかして、どうしようかと思った。村社会は、みんながお互いのことをよく知っている。失敗が人の噂になっても、気にしないことだ。だんだん土地に馴染みながら、心を開いていけばよいのではないか。

それから、土地を売ってくれというのは禁句。村の人は土地を先祖代々の大切なものと思っている。自分はこの場所がとても気に入っているので、どうしても住みたいんだと言うべき。土地を探す助走段階から村とのつきあいは始まっている。まず、村に入る前に、そこの農家のお米を1年間食べさせてもらうことからはじめてはどうか。

 

(大山)国際航業では、新しく田舎暮らしを始めたいという人をサポートする事業を始めようとしている。田園生活をスタートさせるためには、「住む」、「健康」、「生きがい」という3つの課題を整理しておく必要がある。首都圏に住んでいる人3000人にアンケートを行ったところ(回答800名)、田舎暮らしを始めたいと答えた男性は68%、女性は49%。積極的な男性と、現在の暮らしが気に入っている女性の差が出た。夫婦間で、この差をどう縮めていくかが重要。国際航業では、「地球とずっとクラブ」という会員組織をつくり、田園生活のための入門講座、フィナンシャルプランづくり等のお手伝いをしたいと思っている。

 

 

 

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