もう一つが、住宅だけではないのですが、自然素材をどのように使うか。素材を材料に加工するノウハウが要ります。
モンスーンアジアでもっとも適している天然素材は絹と麻です。あらゆる天然素材の中でもっとも調湿機能に優れています。麻は植物繊維で水に強い素材です。木綿とウール素材の衣服は汗をかいて冷えてしまうと風邪をひいてしまう。乾操しているところでは適しています。絹は紫外線をカットしてくれる。絹は着る間に黄ばんでしまいますが、紫外線をカットしてくれるから黄ばむのです。そういう生物的な機能を持っているのです。
・会場参加者
ニツ井町の町営住宅の設計をしている田中です。
今は建築基準法見直しということ2〜3年前から改訂作業がすすんでいます。これまでの建築基準法では数値でがんじがらめにしてきました。今は住宅工法は78工法ぐらいはあるだろうと言われています。(2年前の情報)それ以上に今はもっと増えているでしょう。
数字的に建物をがんじがらめにするのではなく、性能規定に変わりつつあります。数字的に建物を捉えるのではなくなりつつある傾向にあると思います。
町営住宅に対する思いとかを簡単に話したいと思います。町営住宅の敷地を見ていい景色だなと思いました。敷地内に水路を造って住宅の中に水を流したいなと考えました。これからのことを考えて、ソーラーパネルの活用や雨水も積極的に利用したいなと思いました。地域の人のこれからの生活スタイルはある程度の自給自足型と思います。町営住宅の中に畑を作りたい、緑は当然のことです、一番大事なのが町づくり、地域づくりの集合体として一つの形を示したかたと思っています。町営住宅の場合は、内部・外部の塗装は植物油を使用しています。オイル系、シンナー系は使用していません。合板はノンホルマリンタイプを使用しています。量は、防虫・防腐剤を一切使用していません。合併浄化槽は普通20ppmの排出基準ですが10ppmまで落としています。本当はもっと低くしたかったのですが予算の関係でここまでとしました。しかし、公共の建築物の中で10ppmまで落としているのはほとんどないのではないかと思います。また、地域の材料、木材を使用しています。地域のゼオライトや地場の木サッシ、そして地元の大工さんにお願いしています。なるべく塗装をしないのが本来の木造の使い方です。外壁なんかも色を付けない方がよいのです。今回の町営住宅の天井も塗料は一切使用していません。
そのぶん、香りは永続的に続くと思います。
・加藤氏
それでは、最後に西本さんから竹田さんの言われた杉あるいは棟梁あるいは技術、そのへんのところから感じられるところをお願いいたします。
・西本氏
今の日本の現状を考えると、やはりもっともっと我々が木を使って家を建てる必要があるのではないでしょうか。日本人が日本の材で家を建てられないのはなにか間違っていると思います。どっかがおかしいと思います。なんとかやればできるんだと、我々の同世代または後輩の世代に示したいと思います。
・加藤氏
森の学校というもの、里地ネットワークの基本的な考え方をもう一度整理したいと思います。地域と都市を結ぶための役割を里地ネットワークがしています。物あるいは人の交流ができてきます。都市に足りないものをこちらから提供する。逆にこちらに足りないものを都市からいただく。そういったネットワークを日本全国に広げよう。その中で地元にいる二ツ井町の住民はどうしたらよいか。成功しているところは官と民との協同作業が非常にうまくいっています。民間はなにをするの、行政はなにをするのということから入っていかないといけないと思います。官の役割、民の役割、それぞれ5分5分かなと思います。年度目標をこれから定めて、ある程度行動していかないと、いつまでたってもこのままの状態でいくのではないかなと思います。そういう機会を数多く持ってもらって、この町をよくしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
これで、杉と住まいの町づくりのシンポジウムを終わらせていただきたいと思います。