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熊本県小国町、水俣市のことも紹介します。熊本県の小国町は小さな国、独立国というイメージのところです。そこには杉しかありません。小国杉ですね。杉を使った地域づくりを目指して、宮崎町長は3つの中核施設を造りました。小国杉でトラス構造で造った、バス停兼物産館、体育館(小国ドーム)などです。地域の人みんなに杉の文化を植えつけようとしました。その結果、民間の住宅も同じように杉を活用した家に変わってきました。例えば銀行を始め、今では、ちょっと変わった杉の建築物がある博物館のような感じです。宮崎町長の発案で象徴的な建物をつくって住民の意識を変えていこう、そんなことをやっています。

熊本の水俣では、地域の人が地域の中を回って、自分たちの地域に何があるのかを調べてマップにしました。ニツ井町では200人委員会が行われていますが、その委員会はその後どうなったのかなというのが私の疑間です。水俣では山から水が流れる、その水が川に流れ込む、わき出た水が家に入リ流しで使われて、その水を池に流し池で鯉を飼い、川に流す。これが水のゆくえなのですが、水の部分を全部調べています。もう一つは地域の中にどんなものがあるのか、いわゆる「あるもの探し」です。これらの地域では、昔からの暮らし方、住まい方などをもう一度発見しなおして、自分たちはどういう地域をつくっていきたいのか、どういう暮らしをしたいのかを考えています。

何がいいたいかというと、森の学校の地域版を地域の中でつくれないのだろうかという事です。二ツ井町の方々が本当に集落単位で自分たちの集落をどうしたらよいか、そんなことを考えてほしいと思います。熊本の小国ドームを見せたのは、町の公共施設はすべて杉であるべきと考えて実行している地域があるのだということです。よその杉で建てるのはおかしいと考えること。その点で町営住宅が秋田杉になったのは喜ばしと思います。

この庁舎も杉を使っていますが、もっともっと真剣に杉の使い方・活用の仕方があるのではないかなとも感じました。二ツ井町では、秋田杉という銘木中の銘木、南の地域と比べて非常にしまった材の杉をもっています。この木の特性を活かして本当にその木が使われるあるべき姿で活用される、そんな構造をはやく立ち上げるべきではないかなとも感じました。

 

4. 総括講演:鈴木 有氏 〜スライド上映〜

-昨年の4月に秋田にきました。2年間たって本当にきて良かったと思います。外交辞令ではなく心から思っています。理由は2つあります。

一つは田園風景です。地勢がゆるやかで、急な山がなくて、杉の造林の林に雑木が混じっていて、それがゆるやかに田圃や畑とつながって、林業と農業が非常に近いところにあります。まさに、見事な田園風景、里山。特にニツ井町周辺が非常に優れています。

二番目は人ですね。以前は、顔に儲けとかお金とかが全面に浮き出た人たちと出会ってきました。ここへきて、そのような表情が出ている人が少ないと気づきました。いい暮らしをしたい、いい仕事をしたい、時間に追われず、自分の生活を味わっていきたいと思う人たちにたくさん出会ってきました。

それで自称、ニツ井町の応援団になりたいと思っています。ゆるされれば、あと6年で定年ですが、その後は人生の3分の1ぐらい、この地域で過ごしたい。そのときに地域とつながって、その人たちの役に立てるようになりたいと真剣に考えています。

先ほど竹田さんが二つの結論を言いました。

一つは地元産のものをちゃんと使って、町づくり、少なくとも公共事業をやるべきではないかということ。2番目に森の学校でやったことを地域の中で行うこと、地域の中でなぜできないか、地域の人が地域のことをもう一度見直して、その価値を見つけ直そうではないかということです。私の話は、その2つの話と何らかのつながりがあるかと思います。

 

 

 

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