もう一つの大きな問題が木材の流通です。木材の流通というのは、山の森林組合から町の材木屋さんに入るまでに、いくつもの流通の関門があるというか、旧態依然とした流通システムです。ほかの業界でも、京都の呉服屋さんの問屋の仕組みよりはましかもしれませんが…。オーガニックな食品を販売していこうとしたなら、工場ではなく工房的な仕組みの中でっていく以外にありません。売られる場所は、スーパー・GMSなどではなく市の復活が必要と思います。木材も同じで、工房的な製材と流通、そして市的な売買、消費者とじかに関わってくる流通の仕組みが作られる必要があります。
3. 報告(1):成田国寛氏
最初に、森の学校の変遷を簡単に説明いたします。
平成8年からスタートし、これまで6回開催されました。参加する人も迎える町の人もすべてが先生で生徒です。平成7年11月にはじめて二ツ井町にきました。すばらしいなと思ったところをすこし絵にかいてみました。森の学校で皆が旅をする、様々な出会いを重ねて、様々な情報を交換していく、これが森の学校です。その中で二ツ井町に暮らす人たちが、自分たちの暮らしはどうあるべきなのか、また都市との交流はどうすべきなのか、そして風土を活かした町づくり、生業・産業をどうしていったらよいのかを考えていってほしいと思います。
森の学校がどんなことをやってきたのか、参加者がどのように感じてきたのかをOHPを使って話したいと思います。
・森の学校の開校式
・間伐で皮をはいでいる作業
・キノコのほだぎ取り・キノコの駒うち
・木の皮をむいている作業
・郷土の森
・お弁当を食べているところ
森の学校は夏・秋・冬・春と開催したのですが、毎回来る人もいます。季節に応じて二ツ井町の自然の風景が全く変わりますので、来る度ごとに感動が深まります。次が交流のシーンですが、毎回場所をかえ、参加者を変え、いろいろな話に花を咲かせています。
これまでの森の学校の参加者がどのような感想をもっていたのかを少し紹介したいと思います。子供の書いた絵なんですが、冬の七倉山に登った時ですね。次は女性なんですが、能代の木の学校にいった後にどんな報告をしてくれたかというと、「自分のいすを造っていく、自分の体の中に物づくりの経験を形にしていく、というか刻み込んでいく。杉と自分の関係を深めていきたい…」という感じです。この方は大学の2年から参加しているのですが、森を歩いた後はとてもごきげんですよ、という気持ちを絵に書いてくれました。森の学校が終わっても1週間くらい二ツ井町に滞在して森について考えていたようです。
ほとんどの参加者が最後に書いたことは、森のことをこれからも考えること、林業の事をこれからも考えること、今回いろいろな方から受けた様々なやさしさを必ず誰かにあるいは何かに対してお返しをすること、様々な形でかえすこと、家族に伝えたい、今回の体験を周りの人に伝えたい…、というようなたくさんの感想を残してくれました。
西本さんは森の学校の第一回目に参加されて、その後は奥さんが参加されています。森の学校に参加されてどんな感想を持たれたのか、また住宅メーカーの建築計画の方向転換をされているので、その話も少ししていただければと思います。