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講 評

 

長谷山俊郎氏

今日は非常に勉強させていただきました。

「地域はどうすれば活性化するか」、と言う今日のテーマにこだわってみます。何故今、これを問題にしなければいけないのか。

「活性」とは、化学用語です。これはモノの世界の話であり、ヒトの世界の話ではありません。だから、「活性」というのは妥当ではなく、活力の向上とか、活発化といった方が良いと思います。問題にするのは、ヒトの世界だからです。

活性化の対象は今までは経済一辺倒でした。けれどもそれだけでは行き詰まり、文化や環境を組み込んだ対象が重要になっています。

考えてみれば「住民参加」とは、私がかつて住んでいた東北などでは当たり前の話しでした。しばらく前から何故住民参加と言わなければいけないのか。「活性化」の基本は住民参加が当たり前ではないか、と思っていました。しかし、きまざまな地域を見たら「住民参加」が失われている。

これは、戦後、日本が米軍に占領されて、地域が解体させられてしまった時、部落と地域が取られてしまった時から、「住民参加」が失われていったのではないでしょうか。

人間を活き活きさせるための要因を考えてみましょう。

一つは役割を持たせること。

もう一つは効力感。これは何かと言うと、自分たちがやったことが外部に注目されているという実感です。

意識を変えると、課題を投げかけ、それを実施しながら、新たな課題を投げかける。これは山形県小国町で私が学んだことです。住民の25%が変われば、地域全体が動いてきます。

今日のテーマを考えながらキーワードをあげてみたいと思います。

●組織

皆さんが問題にしている地域の組織。これには従来の組織と新しくやっていける組織が必要ではないでしょうか。

諸塚の産業を基盤としたかつての公会堂という組織は地区が主になった組織です。これは従来の組織を新しい組織の本能を備えています。内部から変革を図る能力を持っているとみることができます。標茶は新しい組織につくりかえつつあります。

●交流

交流の意義は相互刺激にあります。それによって人は成長する。これは立場を同じくしてやることが有効です。そこには新しい発見があるし、外部との交流があって変わっていきます。

●文化

これは先ほどの小国町長のお話しにもありました。文化はその土地固有の生き方をパターン化したもので、食、住、言葉、あるいはいろいろな仕組にもあります。これは100年単位の歴史の中で、出来上がってくるものが多い。

しがらみも含めて生き方のパターン化されたものが文化です。しかし日本は戦後、文化ではなく、文明だけを大切にしてきた。

 

 

 

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