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●埼玉県寄居町での調査

埼玉県寄居町では里山ミュージアムと言う構想がある。現在は、地域の人に花暦を調べていただいて、木の実、草の実、年中行事から草本木本まで、地域資源調査と同じようにマップではなくカレンダーに落としてもらっている。植木の産地であった川口安行と言うところが都市化とともに郊外に移っていったところで、庭木の生産者がたくさんいて植物に関心の高い人が多い。私たちがフォーマットを作って地元の人に植物調査をやってもらっている。地域が東京以上にクルマ社会になっていて畦道も全然歩かなくなっているし、車窓から「セイタカアワダチソウが咲いているな」という程度でちっとも地域を見ていない。花暦と言ってるが、実は今のありのままの花を含めて地域を見てもらおうというのがねらい。昔はどうだったか、今どうなっているか、これからどうしたらいいか、ということを地元の人にもう一度自問自答をしてもらう。

こういう作業は、自分たちで調べたことを情報発信のパンフレットとして作ってもらったり、都市の人に、地元をガイドができるように思い出してもらうウォーミングアップとなっている。また、農地を造る、道路を造る、山林を管理する等、地元の人に植物を調べてもらった結果を照らし共生型の農林業土木を、今後どのようにすればいいのか、というランドスケープの資料づくりもしている。

寄居は一見して極端な特徴があまりない。むしろ「多様性」が特徴。多摩川より大きな荒川がある。これが奥秩父から関東山地を流れ、関東平野が関東山地に出会うところが寄居。

ここには関東平野の平場がある。そこには広大な農地がある。しかし一方で石混じりの山の畑で、自家用の野菜を作っている人もいる。非常にばらつきがある。多様だから地形も自然も農業を取ってもも非常に多様性がある。谷津田の農村集落、山村の集落もある。平らな畑と植木の産地と屋敷林もある。

関東でも青梅や飯能は西川材の大規模な林業産地であり人工林率が9割。自然林がない。多摩川流域は自然林が出始めるのは奥多摩湖以遠。寄居は自然林と人工林が半分くらいづつある。色んなクラフトの素材、自然観察もできるし、練馬から関越自動車道で40分と考えると自然が身近に残っている地域である。

そういった意味で自然素材の手仕事、染色、木工、紙すき等が、素材を取るところから体験できる本格的な工房を造ることも考えている。

私にとって、寄居の魅力は、山を歩いていても誰もが一休みする所がある。自然林になって木漏れ日がある、山のくねりを行ってきたの斜面をずうっと行き、そうするとみんな立ち止まる場所がある。そんなところです。

ぼくは水と空気がよくて自然度が高い所は人間が元気になるような気がします。

 

 

 

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