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●地域の活力とは?

人口が増えれば地域は元気になるのでしょうか? その物差しだけでは説明がつかないことがあります。小国は人口だけ見れば徐々に減っている地域で、日本全体でも人口減少の予測があるのに、過疎地域の人口が増加することを前提にして考えるのはおかしいと思います。

また、外部参入者は国勢調査の中でカウントされていない人もいます。人口は頭数の論理であリ、個性、地域の特性は「質」の部分です。これからは、そっち(質)の物差しも考慮していくべきだと思います。

また、いろんなイベントも開催していて、それに惹かれて入ってくる人が多いです。地元の資源の掘り起こしなども地元住民と外部参入者が一緒にやっています。

小国では、外部者と内部者を結びつける仲介的な役割である、チューニングチャンネルがあります。このチャンネルを通さないと、外部者は入っていけません。小国はこのチャンネル数がたくさんあります。

町長、江藤さん(木魂館館長)が外部参入者に対しての核となっています。さらにその人達が中核となって他の人が入ってくるような仕組みになってきます。

地域づくりとは自分づくりであり自分を磨くことで、独りではできません。相手と自分でお互いに育てあい、一緒に育っていくものだと思います。

地域活性化とは岡田憲夫先生(京都大学防災研究所)の言葉で言えば、覚醒化→葛藤化→撹絆化、の繰り返しでありこれはエンドレスです。また、撹拌されても覚醒される前の位置には戻らないものです。

また、活性化するときに何かやらなくてはいけないということを前提としているようですが、地域の人がそのままでよければそのままにしておいたほうがいいと思います。これをかき回したらかえってマイナス効果になってしまいます。

 

●ハビタント概念

ハビタントという言葉は一般的ではなく、岡田先生と一緒に作った造語です。単なる参入者でなく地域のコミュニティーに何らかの形で影響を与えている人。ハビタント(habitant)は、『生息地、住まうところ』からヒントを得て造語をつくりました。

 

●ハビタント概念と交流人口概念の違い

・数ではなく、個性やかけがえのなさを認めて大切にし、質で捉えています。

・地域に関わっている人は別であるが、観光客であるビジターは含めていません。

・居住地が時間軸上と、地理的空間軸上で捉えている。(トランスハビタント)

・2つの居所という観点から内部者と外部者のどちらにもなり得る。

 

●参加者からの質問とそれに対する応答

外部参入者の経済効果について:

経済効果は現時点では目立った物は出ていない。博物館関連ができて、観光客がバスで来るようになった。入館料やお土産、宿泊などの経済効果。しかしそれほど大きくはない。

行政としての悠木の里づくりは経済効果よりも地域性を重視。町の魅力。後から経済的効果も現れている。例えばこの技術のため板金屋さんがノウハウを持った会社ができた。

(竹田)

 

 

 

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