環境保全型里地づくり
連続セミナー4]
地域はどのようにすれば活性化するか
講 師 : 長谷山俊郎(農林水産省農業研修センター農学博士)
開催日 : 9月18日(金)
場 所 : 表参道・新潟館 ネスパス
私は、農林水産省農業研究センターで、農村組織と地域計画に関する研究を行っています。全国の農村を歩き、農村地域の人たちはどうすれば元気になるかを調査してきました。今日は、活性化と効力感、活力を高める要因と要素について事例をもとにお話します。
●活性化を図る視点
-農業・農村の後退を大きくした要因
1]第2次産業、第3次産業に偏重した経済政策と最近まで地域文化の推進に目をかけなかったこと。
2]農業政策は「生産」の視点が強く、「経営」する人に焦点を置いたものではなく、人の育成が極めて低かったこと。
3]地域と地方は異なる概念。東京以外はみな地方であり、地方は中央に従属した概念である。一方、地域はそれぞれ独自性がある。今日まで、地域を日本の政策ではあまり重視してこなかった。地域の文化を意識してこなかったことが、今日の「ひずみ」を生んでいる。地域や農村文化に焦点を当てる必要がある。都市は優れているというのが今までの考え方で、地方はそれに従属とした中での政策であった。これからは、地域としての生き方を求めていくことが重要であろう。
-活性化を図る視点
地域が活き活きする時はどんな場合か、逆にしょんぼりする時は、どのような場合かを考えてみましょう。人も同じで、人は恋愛しているときに元気になる。地域の人が活き活きとしているということは、活力があるということ。「活力」とは人間の願望を満たす行動をユニット化したもの。元気になる基本は願望。願望と行動が活力の基本。願望に基づいて人は動く。ただし農村と都市の人の活力のあり方は異なる。東京は、個々がバラバラであり、それぞれの人の願望が集まって、活力となる。一方、農村は、個々がバラバラではない。ある目標なり共通の方向性を持った時に活力が生まれる。
-朝市のおばちゃんは何故元気か
小遣い収入だけでなく、客やおばちゃん同士のコミュニケーション、あるいは自分の作ったものが売れる楽しみ、自分たちのやっていることが周りにならんかの影響を与えていると言うところから元気が出る。経済的行為も元気の素だが、人間はそれだけでない。地域においては、他の人の影響を受けた場合にも元気になる。感性が一致した時にも元気になる。だから感性を引き出すことも重要。