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グラウンドワークと里地づくり

 

講 師 : 千賀裕太郎(東京農工大学農学部地域システム学科教授)

開催田 : 6月20日(土)

場 所 : 環境パートナーシッププラザ

 

●グラウンドワークとは

地域を構成する「住民」「行政」「企業」の3者がパートナーシップを組み、グラウンド(生活の現場)に関するワーク(創造活動)を行うことにより、生活の最も基本的な要素である自然環境や地域社会を整備・改善していく活動です。従来のような行政のトップダウン的な地域計画ではなく、住民と企業を加えたしっかりした3者の協カシステムによって、土地、資金、アイデアをだし、汗を流し実行するものです。理想的なスタイルとしては、3者からの代表があつまる「グラウンドワークトラスト」を結成し、専門家たちも加え、地域の環境保全活動を展開することが望まれています。

企業、行政は、資金、人材、土地を供出し、住民が、慈善的なボランティア活動により労力を提供することで、地域の環境を維持推進していくこと。この為には、専門能力のあるスタッフがいる事務所が必要です。環境デザイン、造園、社会教育、環境教育などの専門能力をもったスタッフと、特に、3者のコーディネーターとなる人材の確保が必要です。どのように専門スタッフを確保するかが最も重要です。グラウンドワーク運動は、地域コミュニティーの活性化、個々の地域主体の能力を高めます。(参照:連続セミナー資料6])

 

●グラウンドワーク運動の発祥は

イギリスの農村で1980年代にはじまり、全国組織としてのグランドワーク事業団が、環境庁、組織や民間団体、ECなどと連係を取りながら、地域の活動を支援していきます。

地域では、現在42地区でゲラウンドワークトラストが運営され、常勤スタッフ数500、事業数3500、事業収入2000万ポンドになっています。

運営資金は、国と自治体が80%のコアコストを拠出し、残り20%相当の財貨や作業などを、企業及び住民が負担します。行政からの支出の割合を段々下げてって公的資金から私的資金に代えていくことで独立した運営が出来るようにしていっています。現在は、50%くらいの公的資金の拠出という段階に来ています。英国人口の17%が何らかの活動に参加しています。

 

●グラウンドワークトラストの法的な性格は

自由な活動を可能とする有限責任会社としての性格と、公益的な位置づけを与えられるチャリティー資格を保有していることが特徴です。補助金や社会的な信頼を得られるとこで、地域のボランティア活動を行う上で非常に活動しやすい組織になっています。日本でも、NPO法案による社会的な信用が期待されています。

 

 

 

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