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例えばその棚田を残そうとしたらそのための労力もお金もかかる。その棚田は、衰退に向かっていくものならそっちにむかわしてしまってもいいのではないか。最終的にむかわしてしまうと収穫物がなくなってしまい人間が困るけれど、そこには1年層のものと極相に向かう極相林的なものを植えることにより混合的なものを造る。水田もやるけれどその畦に果樹や豆科のものなどを植える。そうすることにより、ある時その場所が森になってしまってもいい。ある場所はそのまま水田であってもいい。もう少し複合的に自然が遷移していく中で考えれば楽になるしその方が理屈に合うと言える。

 

●単一性と多様性

東北は、江戸時代の開拓のため、農民に換金作物である米を穀物の代わりに作らせた。これは飢饉や冷害がきたらやられてしまう。雑穀など、多様なものを作っていればこのようなことにならなかった。モノカルチャーで自分達の生活が成立たせる様なシステムを政府が造った。それは日本だけではない。

一つの例として、グリーンレボリューションは世界的な問題である。

そこで「多様な食べられる生態系を自分達の周りに作っていこう」という複合農業が最近の動きである。

アイガモ同時水稲社の古野さんは、アイガモ同時水稲作は米作りもするし、アイガモの肉も作るし、餌として水田の雑草だけでなく、空中チッソを固定する浮き草を食べる。水田の中では魚も土壌もいる。彼いはく、畜産業もやっていれば農業もやっている。かつ窒素固定もやっている。稲は干して有機肥料にもなる。

 

農業は非常に単一であるところで止めてしまっているが、できるだけ自然に移っていく方向の中で生産物を収穫する形にするのがパーマカルチャーである。

 

 

 

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