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●英国グラウンドワーク運動の背景

日本は大きな政府であり行政主導型ですが、英国は小さな政府を目指した国です。英国では、日本の集落に相当するコミュニティーを、パリッシュといいますが、1970年の経済制裁でもって、経済が低迷し、工場が撤退し、雇用の場を失い、若者たちが荒れていくという状況が起こりました。地域の経済的な低迷によるコミュニティの崩壊に対して行政では、コミュニティー主導の考え方により、地域の人々を組織して、地域の保全活動をみずからの地域コミュニティーで行おうという施策をとりました。民主主義と地域自立、経済的な再活性化、環境と経済の両立を目指したサッチャーの施策です。ここからグラウンドワーク運動が開始されました。

 

●イギリスのグラウンドワークの特徴

-マッチングファンド方式

徐々に自己資金を拡大し自立運営を目指しますが、この方法として、企業が資金や資材により100の拠出をし、住民も、100(ボランティア)、行政も100の拠出をするという条件を行政がつける。それぞれを合わせれば300になり各主体の拠出は少ないけれども、大きな効果を主むというパートナーシップの考え方です。

 

-多目的の結合

福祉、労働、教育と環境という目的を結び付けて、コミュニティー内での多くの目的を同時に実現していくことでグラウンドワークの財源の確保と活動の効果を最大にする考え方です。

 

日本では、1991年の日英交流会議に端を発し、1995年に正式に(財)日本グラウンドワーク協会が発足しました。国内での活動としては、滋賀県甲良町の農業基盤整備事業、宮城県鳴子町の地元資源の発掘と交流のまちづくり、鳥取県米子町の割り箸リサイクル活動、北海道十勝国の風土景観まちづくり、福岡県内での活動、静岡県三島市の湧水のまちづくり活動などが著名です。

(参照:連続セミナー資料7])

 

●今後の課題として

-3者間のコーディネート能力をもった人材の確保

-住民と企業の合意形成

-住民、企業、行政のパートナーシップ形成

-住民の積極的な参加

をいかに形成するかにあります。

 

 

 

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