環境保全型里地づくり
連続セミナー2]
パーマカルチャーとエコビレッジ
講 師 : 糸長浩司(日本大学生物資源科学部助教授)
開催日 : 6月19日(金)
場 所 : 環境パートナーシッププラザ
農村で地元の人たちと一緒に村づくりを20年くらいしている。その中での疑間は、農村での価値観は都市に追いつこうとしているところ。それを「ちょっと待って」と言って今ある地元の資源を生かし、それを活用して次世代に残すことを伝えようとしてきたが、農村の重い扉はなかなか開かれない。簡単に意識変革ができない。それだけ日本の近代化に対する考え方や教育の影響は大きい。そんな中パーマカルチャーに出会った。
総合的な地域デザインとして、体系としての魅力を感じた。ただ体系として整っていればそれだけに全体主義に陥りやすいと言う危険性はある。今ある現実の都市や農村にどう適応していくのかと言う点から考えていきたい。
パーマカルチャーは生活をしていく上での持続性を生活者がどうデザインし、創っていくのかが基本。
大学の学部で言うと医学部以外は全部入っている様な体系になっている。
近代化は、元々統合的であった生活が機能分化している為に問題がおきてしまっている。
パーマカルチャーは、それをもう一回個々の場で見つめ直している。
●パーマカルチャーの発展
オーストラリアのビル・モルソンが総合的な体系を創り、実践を行っている。一方では、後進国での自立的な村づくりを支援する活動もある。これは、パーマカルチャーについての講義をしてから、現地での調査、観察を行い、実際にデザインしている。
●パーマカルチャーとは何か?
「パーマネント(永続性)・アグリカルチャー(農業)=永続農業」
「パーマネント・カルチャー(文化)=永続文化」言い換えれば、持続する循環型社会。
最初は、農業そのものの持続性がメインであった。元々オーストラリアはアボリジニがすんでいて豊かな生態系があったが、ヨーロッパ人の近代農業の導入によって生態系を壊し、土壌流失、砂漠化してしまった。
持続できる農業は、地域にもう一度戻し、かつ土も作っていかなければならない。日本では江戸の農村集落のようなもの。
戦前、単一近代農業に疑間を抱いていたアメリカの土壌学者がアジアに農業視察をした時、日本の循環型農業において土壌が豊かなのを見て、パーマネントアグリカルチャーと言う言葉は用いられた。
これははじめ「停滞農業」と訳されたため、経済のが急発展の中で、この言葉は評価されなかった。
しかし、考え方によっては停滞とはなかなかできることではない。持続性とは実は停滞なのかもしれない。