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こうして、久木野には、次男、三男が、産業の担い手として都会に出ていき、最近は、長男も出ていきます。

問題は住んでいる人たちの頭が過疎化していることです。住んでいる久木野の良さが分からないことに尽きます。新しい血や風をいれなければダメなのに、どうにかしようと言う考えが浮かばない。過去にやってきた延長で問題解決しようと考えているので良くならない。それで、久木野にコミュニティーセンターを整備した時に館長を全国公募したんです。「家はタダ、田んぼは貸す。役所並みの給料は出すが市の職員にはしない。けれど家族で住め」を条件にしました。

今、山に樹を植えたり、特産品開発したりして活動しています。私は「わざわざ」来るような拠点にしないとダメだと言っています。それも地区のあるもの、地区の生活文化資源を基本に知恵と工夫を加えて活用したもの、例えばトーフです。昔ながらの国産の素材とおいしい水でつくり、その料理を出す。「わざわざ型」のお客にインパクトのあるものの提供がいる。わざわざ+面白い+地域に根ざしていることが大事だろうと思います。

すると館長という外から来た者の役割は「びっくりする」「おもしろがる」「なぜですか?と質問する」ことだと思います。このことによって、地元の人はどんどん自分たちのこと、地域のこと、その良さに深く気づいていきます。

 

●「水のゆくえ」「あるもの探し」と自治的組織づくり

平成3年、「寄ろ会みなまた」という地区活動のお世話をする自治的組織を全26地区に結成しました。その理由は、20〜40代が愚痴を言っていたので行動する自治的組織を作りたかったからです。最初に仕掛けたのは「地域資源マップ」づくり、あるもの探しです。これは「ないものねだり」をするのではなく、地区のあるもの(生活文化)に光をあてて磨いていこうという意味です。

やってみると「ここには何にもない」と地区の人は言うので「ああそうですか、で、川には何がいますか?山には何がありますか?」と聞いたんです。すると「川にはウナギ、力二、アユ、ダクマ(エビ)ゴ、山には、やまもも、やまいも、いのしし、ドゼン、わらび、ぜんまい…」すると「そんなのでいいのか?」「そんなのでいいんですよ」「そんなのでいいんだったら一杯ある!」それを絵地図にして、地元の人たちに集まってもらい、「まだある!」と文句を言ってもらって仕上げた。

仕上げたら地元の人が地元を子供をつれて見て回るツアーができた。子どもが知らないから子どもを案内しようといって、実は自分もあんまり知らなかった親が地元巡りをしています。その中から産品開発や地域づくりの動きも出てきました。水俣のハゼの実は全国の30%を占めていて和ローソク等の原料等になっているんですが、櫨の木館ができています。産品開発はなかなか難しい。千年銀杏の実で苗を育て販売もしましたが、「モノが語る、物語」を売ることが大切かなとこの頃は思っています。

次に水の行方を調べました。

 

 

 

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