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例えばハーブを紹介するために、日本の香草やシソを使って理解しようとしていたようなものだった。これが導入時期であった。

第2期は、そういう活動を矛盾を抱えながらやってきて、活動の基礎づくりをやろうと言うことで、もっと生活者や興味のある人に参加を呼びかけたが、なかなか入ってこなくて反対にこっちから入って呼びかけ、自分の身の回りのことをよく知ろうと言う考えを持った。

当初、暮らしや生活の臭いのしない「エコミュージアム学」という印象があった。生活している人に参加を呼びかけても入ってこない。研究会と地元が解離した。地元の人が入ってこないので、サテライトを選び、そこを軸として、そこから、地元に逆に入っていった。

そして、自分の身の回りをよく知ろうという風に考え方が変わっていった。エコミュージアムは、どうも目鼻がハッキリしていないので、自分たちの歴史風土を学ぶという風にした。

 

●旧石器探偵団

その結果として、自分の身の回りをよく知ろうと言う流れが生まれ、朝日町で最も古くそれでいて原点となる地域資源のサテライトを求め、大隅遺跡にたどり着いた。旧石器時代の朝日町の様子や旧石器の実物を自分たちで調べていくと、群馬県岩宿遺跡の発見よりも早いものであることが分かリ、もっとたくさんの人に知ってもらおうと「幻の日本初・大隅遺跡旧石器発見60周年シンポジウム」を開催した。小学校からお年寄りまで、そして学校の先生や歴史マニアが多く参加し、「ああ、朝日町が神代以前の日本を明らかにする大きな発見になったのか」となった。

このシンポジウムには、明治大学の学長戸沢充則氏からもご協力をいただき、広い視野からの旧石器時代を通した人と自然の関わりを拝聴した。

「旧石器鑑定団」を作って鑑定所を作ったら子どもやお年寄りがみんな土器を持ってきた。しかし、講習会を受けないとこの鑑定はしないと言う条件をつけたため、皆で勉強をした。そこでエコミュージアムと言う言葉を度々使って「エコミュージアムとはなんぞや」ということで理解してもらうことを最初のステップとした。暮らしとの関わりをしている。

 

●元禄の朝日町の寺子屋を再現した劇を上映(大谷地区)

元禄時代の朝日町を知ろうと言うことで地元のことに詳しい人から勉強をした。そして昨年は元禄文化以降の寺小屋の教科書にもなった「大谷往来」を取り上げて、地元研究者の堀啓太郎氏らと共に大谷往来に出てくる地域資源や地名あるいは名物などを現地と照らし合わせたりした。そうした地元との接触の中から大谷往来をもとにした劇をしようと言うことになり、皆に面白おかしく伝えた。元禄の寺子屋の先生に扮した人が「エコミュージアムとは…」と言っている。しかし、それがウケてある程度はエコミュージアムがわかったのではないかと思う。また、重田千穂子さんの友情出演と芸達者な地域の人々が劇を作り盛んに行われた。

大谷の集落の人がやりたいことは何か、と考え、やりたいことに応援した。演劇が地域内にあったので、そのやり方に応援した。

 

 

 

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