日本財団 図書館


・スウェーデンの7つの市町村にまたがっているエコミュージアム:

ボランティア活動が各アンテナで活発化している。ここはヨーロッパミュージアム大賞にノミネートされている、博物館としてきわめて質の高いものです。

ここで私が思うエコミュージアムの本質がありました。それは電話帳です。50ヶ所ほどあるサイトの維持管理をしているボランティア団体の代表、各市町村の担当、研究者等、このエコミュージアムに関係している人の電話番号が載っています。エコミュージアムは形ではなくこのような電話帳のようなものなのではないか、と思います。

 

・スウェーデンの河口:

元自然史博物館の職員が中心となって行っている。地域の自然の保全という面から博物館外での活動を始めたのがきっかけ。ここでは自然保護の一つのツールになっていて、自然環境がサテライトになって守られています。

彼はエコミュージアムは、環境、文化財保護などを束ねる傘…つまり実態ではなく束ねるネットワークのようなものである、と言っています。

 

●これからの展開

提唱者(ユグ・ド・バリーヌ)は最近エコミュージアムよりもむしろコミュニティーミュージアムという言葉の方が適しているという見解を出しました。理由はフランスではエコミュージアムという言葉が最近色んなところに使われすぎて、単なるファショショナブルで便利な言葉となってしまった、むしろコミュニティーを大事にしているのだからコミュニティーミュージアムという方が適しているのではないか、と言っています。

そういう訳でフランスでは、本物のエコミュージアムに対する憲章を作りました。

元々は地域を大事にするという意味が、エコミュージアムという言葉で表現されていないところが日本にもあるのではないか、ということで正しい共通理解を持ってもらいたいと考えています。

 

日本でのエコミュージアム活動

菅井正人氏

 

●スライドによる朝日町のサテライトの紹介

 

●「ふりむけば見えてくる」:朝日町におけるエコミュージアムの動き

最初「エコミュージアム学」という言葉が、みんな理解できなかった。この時遠くから来た西澤さん(ナチュラリスト)が説明してくれて、会合を重ね、エコミュージアム研究会を実施してきた。手探りながら研究会用の手引書を作った。これらの動きは、行政は全くタッチしないで行っていて、ものずきの集まりから始まっていった。

平成3年の総合計画ではエコミュージアムの考え方が基本となって、住民と行政が一体となった町づくりを目指している。

それを受けて、行政内部では、朝日町エコミュージアム研究機構を発足させた。機構側で用意した予算や人材により、研究会は国際シンポジウムを2回開催したが、エコミュージアムは横文字で旦つ、概念自体が難解であるため理解するのに大変だった。このほかにも、使われる言葉が、みんな新しい言葉ばかりだったので、7年間くらい、言葉とネットワークに関してかなりの時間をかけてみんなで勉強した。そういう期間内にサテライトを調査して選んだけれど、エコミュージアムには暮らしとか生活の臭いがしなかった。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION