環境保全型里地づくり
連続セミナー1]
エコミュージアムと里地おこし
講師 : 大原一興(横浜国立大学工学部助教授・日本エコミュージアム研究会事務局長)
菅井正人(生活地理研究所)
嵯峨創平(まちづくりプランナー・日本エコミュージアム研究会理事)
開催日 : 5月8日(金)
場所 : 環境パートナーシッププラザ
エコミュージアムとは
大原―興氏
エコミュージアムとは、フランスの博物館学者アンリ・リベールが1970年代に提唱した、新しいタイプの博物館概念で、語源的には、ECO MUSEUM OIKOS=ECOLOGY,ECONOMYのECO、つまり「家」という意味です。
生活全体を表現するLIVING HISTORY MUSEUM「保存するもの」を切り取ってみせるのではなく、環境全体として捉え、動体展示し見せていくこと、地域コミュニティー自体を、住民参加型の方式によって博物館として捉えなおして、自ら手を入れ、博物館としていくことを目指すこころみを言います。
エコミュージアムという考えは、1968年のパリの学生運動とリンクして、関連性を持ちながら、時代背景としての社会動乱に対して、地方の見直しを行おうという考えからできました。都市集中に対する地方分権の考え、地域を活き活きさせていこうという考えが根本にあります。フランスにおいて博物館の人たちが自分たちの存在意義を真剣に考えようとしたところから生じました。
エコミュージアムを一言で説明するのは難しいです。何故なら日本においてエコミュージアムとは地域づくりの方法の一つとして使われていますが、発生時は、必ずしもそうではなかったからです。
●連続セミナー資料1]:
従来の博物館は博物館という「館」があったのですが、エコミュージアムはそれがなく、領域という地域の広がりになっています。博物館における収集品は地域における資源や遺産、自然、物に限らず民族的文化的なもの等です。そして博物館における専門家は地域における専門家、特に年長者が当てはまります。さらに博物館におけるビジターは、エコミュージアムでは地域の人が地域のアイデンティティは何なのか、ということを学び、ビジターがきたら私たちの地域はこんなところなんだということを説明するようなものです。
●連続セミナー資料2]:
これは私自身のエコミュージアムの理解です。Museum(博物館学),Heritage(地域内遺産),Participation(住民の主体的参加)の3つが重なった部分がエコミュージアムといえると思います。日本の場合はこのMuseumと言う視点が抜けていることが多いようです。