調査内容
本調査の特徴として、「準備段階」「グリーンツーリズムモニター」「事後分析」の段階をそれぞれ重視し、また、企画者(ツーリズム運営者)と参加者(モニター)の両面の視座が必要となる。
●準備段階での原則
準備段階として、運営者間での意志を統一するための具体的な運営原則をつくることとした。
以下が、その原則である。
1]食事:できる限りその地域で普段食べているまたはハレの日食べるものを出す。ないモノは使わない。あるモノを使う。だから間違っても山の中の食事で海の魚の刺身は出さない
2]食材:周辺で調達できる食材を、参加者が調達できる試みがあればベター。
3]水:温度を測る、飲んでみる、手を入れる・足を入れる。
4]モノやコト:なるべく近くで見る、触る。
3]よなべ談義:その地域の自慢話を中心とする。馬鹿話、言い伝え、怖い話、すごい人。
3]資料:水俣市10の知識、地域資源マップ、水の経絡図、水のある風景、環境ツアーマップ、環境創造みなまた報告、恋路島の植物など。
2]時間:2泊3日の規制はあるが、なるべく時間はゆったり取る、急がせない。メニューをこなすことが目的ではない。
3]テーマ:表向きのテーマは「新しい旅の形、水俣の可能性」だが、隠されたテーマとして「再生する水俣」「グリーンツーリズムへのまなざし開発」があるので、あらゆる事柄を「水、ごみ、食べ物」と関連させて見せるようにする。
3]地域資源:地域の人が暮らし・仕事・遊び・休み・祭りのなかで、大事にしているモノやコトを探す。あるモノの形と意味を考える。
10]水俣の海川山で遊び、暮らしに触れ、固有の風土と共にある暮らしを学ぶ=水俣学。杉本栄子さんなどの患者の語りにある哲学を学ぶ=水俣学を、水俣グリーンツーリズムの基礎とする。
10]Dコースは基本的にグリーンツーリズムではなく、地域振興調査に近い企画となるが、そこから新たにグリーンツーリズムの芽が展開することが期待される。
●環境再生水俣・生活文化体験ツアー
(期日)平成10年10月2日(金)〜4日(日)
(人員)モニタツアー参加者22人+一般参加者8人
企画にあたっての趣旨:
三方を出に囲まれ 一方を海に開いた水俣は ひとつの小宇宙
人々は海の民 野の民 山の民 そして マチの民に分かれて
水の恵みに暮らしています
人だけでなく多くの生命を育む 水の恵み
海と山を結ぶ川 自然と暮らしをつなぐ水から水俣は再生します
モノや地域、そして生活づくりの背景にある地域固有の風土と生活文化の厚み、源流域から不知火の海に注ぐまで水俣を流れる水俣川、リアスの入り江と森の恵みは不知火でも有数の藻場を育て、人々は野山や川、海の幸に暮らしていました。