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総括

 

流域モデルをどう全国に波及させるか個別の出発点にかかわりつつ広域連合の共同体へ

 

阿智村における実験も、伊那リサイクルシステム研究会の諸実験も、諏訪環境まちづくり研究会の活動も、それぞれはまったく別の組織であり、発生の歴史も目的も違う。しかし、しっかりと共通した基盤を持った組織となっている。

1]それらのすべては天竜水系の環境と経済にかかわっている。

2]それらのすべてが生産と消費、廃棄、再生の人間の営みの基本システムのすべてか一部にかかわっている。

3]それらのすべてを結べば天竜水系の経済・自然生態系の循環システムを形成する軸になる基礎システムとなることができる。

4]ただし、いまのままにパラパラでは循環システムの形成は不可能である。企業や地域の個別の出発点から出発しなければならないが、個別の出発点から水域を包含する広域連合の総合思想に到達する。

5]つまりそれらを天竜水系の循環システムとして系統的に有機的に結合してこそ、われわれの近未来型社会システムである循環経済・環境システムが姿を現すのである。

 

もちろん、さまざまな活動があっての成果だが、その活動には生涯をかけている情熱が伝わってくる。飯田実教授による「ドイツバイエルン州の湖沼浄化対策要因」の研究、及び、3回行われた「日独環境まちづくりセミナー」と日独交流・事例学習。

高杉晋吾氏による「インディペンデント・パネル住民参加の国際モデル」を研究、「ドイツIBAエムシャーパーク構想」の研究を通じた国際的モデルの成功要因を研究し、天竜川流域の現状と積極的な比較を行い、その理念と思想、ドイツではやっている、天竜川でもやればできるという勇気を、流域の各地域に与えていること、その熱意と絶え間ない努力が、地域の活動に関わる人々の努力と熱意とともに、一つ一つの成果を生んでいると思われる。

これらの個別の活動に学びながら、それら各地域のキーマンを紹介し、結びつける努力が求められている。努力の結果は、天竜水系の環境ピクニック、天竜水系の水質検査作戦として実りつつある。それらの行動は、本当の生産から廃棄に至る循環システムと結びついていかなければならない。その土台が住民参加であり、情報公開であり、循環システム内部における自然エネルギーの循環利用であり、資源の再生利用の循環システムとなっていくだろう。これらの形成過程に住民参加がどの程度実現するだろうか?それが経済と環境の循環システムの成否の鍵となるだろう。

 

 

 

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