2.ドイツにおける流域モデル「IBAエムシャーパーク構想」
lBAエムシャーパーク社の役割
エムシャー川流域には17の都市があります。この都市と都市の間には、広大な空間があるのが通常ですが、この地帯は重化学工業地帯です。この重化学工業地帯は、北九州のように都市と都市の空間がありません。この重化学工業の転換を如何に行っていくか。環境汚染がはなはだしいこの地域で、この地域を如何に転換していくか。石炭産業中心の重化学工業、衰退していく工業をどのように転換していくか。ヨーロッパ中心の産業の中心を、どうしていくか、これは、ドイツの動脈産業の転換です。依然として重要な側面を持っているこの地域ですが、石炭地域を如何に他の産業に転換していくかということが重要です。このエムシャー川流域には40万人の人々が働いています。この40万人の生活を維持しながら如何にして産業構造を転換していくのか。これが、エムシャーパーク構想です。
エムシャー川には現在116のプロジェクトがあります。
炭坑はどんどん閉鎖しています。北へ、北へと、閉鎖と開設を続けています。この炭坑跡地の利用方法。そして公害問題、つまり、炭坑を掘るとその周辺に穴が空く、大きな穴が空き赤い水でうまることになる。この炭坑跡地を如何に再生していくかということです。
この州では、さまざまな法律があります。事前に住民に説明しなければいけないという法律があります。まず、公社が土地を買い上げます。日本では、土地を私有財産としてみるという文化がありますが、ドイツでは、この土地に、使用することに重きを置いています。このため、土地を買い取ることは非常に簡単です。この公社の買い上げた土地を如何に利用していくかが重要です。
「IBAエムシャーパーク構想」の基本的指針
・ 環境に関するさまざまな方面に配慮してエコロジーにプラスであること
・ 社会的に許容されることではなく、社会的な状況の改善に役立つこと、企業だけでなく住民が新たな都市景観のビジョンに照らして、文化的な地域社会に寄与すること
・ 全体としてのバランスを重視した計画であること。景観が悪くなっても良いのではなく、景観を良くすることが、全体としてはとても大切であると言うことです。
全体として、116のプロジェクトがあります。地域毎では、10余のプロジェクトがあります。このプロジェクトを総合的に結び付けていくこと、エムシャー川流域を、一つの総合的なパークへと導いていくことが、エムシャーパークの総合的なプロジェクトの役割です。
古い産業形態を新しい産業形態に変えていく。これがIBAエムシャーパーク社です。IBAには、26億円の予算しかありません。 IBAには、工事予算はありません。命令権もない組織です。唯一行うことは、市民をはじめとするさまざまな主体に提案をしてもらうことです。市民からあがってきたさまざまな提案を、コンペにかけて最高の提案を、地域で実現するように提言します。 IBA社のこの提案を受けて、地域ではプロジェク実現のための企業を作る提言を行います。
具体的な活動事例
・ エムシャーランドシャフトパーク(運河公園)〜ボタ山の跡地活用について、プランコンペを行い、デザイナー、都市計画者、市民がさまざまなアイデアを出し合い優秀作品をこの地域の地域づくりの基本方針に据えた。この基本案を元に、デザイナーが最終的な作品に仕上げて公園化を図った。