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クランガルテナーの話

・ クラインガルテンを利用するきっかけとなったのは、仕事でこの付近に来ることが多かったためこうして滞在できる土地を探していたことであるが、今、ここを利用する大きな目的は、日を浴びることである。普段は東京のビル街、またはヒーターのついている中で生活しているので、ここではおもいっきり日を浴びたい。また、農家の方との交流は、いなかの親就制度であったり、村の飲み屋であったりし、だんだんこの村自体も、外からの人に対して閉鎖的なものはなくなって来たのではないかと思う。 (東京都)

・ ここでの魅力は、家に庭がないため、無農薬栽培ということで家族に安全な食べ物を供給できること、また文化的な交流が得られること、畑仕事によってからだを動かすことができることである。

自分自身も非常にクラインガルテンに興味を持ち、ヨーロッパに視察に行ったり、全国のラウベ付きでオープンしたクラインガルテンに行ったりして、勉強している。(長野県)

・ 年金を利用しているが、遠くからここまで来るのは、ものを作る楽しみがあることである。また、ここへの希望者が多いのは、一つには交通の便がいいここと、信州の観光拠点になることであると思われる。特に村、農家との交流を主に来ているわけではないが、その程度は、それぞれであっていいと思う。高齢化対策としてクラインガルテンは有効であるが、その土地ならではの仕掛けを作っていかなくてはならないだろう。(東京都)

・ 一番引き付けられるものは自然である。子供にこの自然を体験させたかった。観光の拠点にもなるので、娘夫婦などを呼んで利用している。初年度に入ったのでもうすぐ5年になるが、継続して利用したい。(神奈川県)

 

ぼうずやまクラインガルテンは、長野県内だけでなく、全国でも初めての試みであった「滞在型市民農園」であり、そのモデル地域とされているため、現在中山間地域を中心に、高齢化や過疎化の問題を抱える様々な地域からの視察を受け入れている。都市の緑に対するニーズが増える一方、こうした農山村からの強い働きかけがある。村づくり、町づくりはクラインガルテンだけでできるものではなく、こうした、その地域の住民が、自らの生活に活力を持つことから始まるのではないかと思われた。

 

6. 阿智村社会環境アセスメント委員会の取組

 

長野県が県下に4つの管理型処分場を計画している候補地の一つである下伊那郡阿智村。そこで長野県の環境アセスや事業計画に対する賛否を超えた公平な評価情報を提供する委員会がつくられている。それが「社会環境アセスメント委員会」である。長野県は阿智村の地質調査と環境アセスメントに入った。長野県としては県政の重点課題として管理型処分場の建設を考え、そのためにこの施設を循環型社会へのキー・モデル施設と位置づけ、「施設の最高の技術モデル」「建設過程で、住民関係や手続きにおけるモデル」「建設後の関係におけるモデル」となることを表明した。

これに対して阿智村は、行政も議会も「賛否の結論は村の住民が出す。村の人々が賛否の立場を超えて十分に討議するための情報を提供する。村主導の社会環境アセスメント委員会をつくる」と決定した。1997年9月にこの社会環境アセスメント委員会は発足した。研究委員・公募委員・地区議会代表委員の構成からなる15名の委員会である。高杉氏が社会環境アセスメント委員会の会長になり、植田和弘京都大学教授が顧問、賛否の立場を含んだ構成である。委員には反対派の中心人物もいる。会議は全面公開であり傍聴者(反対派が多い)が月例委員会に詰めかけ、発言もかなり自由である。

 

 

 

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