山林の手入れの必要性と頻度
山仕事は大変だとか義務だとか思わずに、山の手入れができるのは特権であり、楽しみとして山仕事をやろうということです。山づくりは素人にもできる。幸い一番手のかかる植樹や下草刈りは終わっているから、林を空かしてやればいい。鳥が喜ぶ木を残すとか、人が感動したり落ち着く木を残すとかすれば、すぐに公園のような森になる。山造りのノウハウをしっかり学んで、庭しごとの感覚で山造りをやって欲しいんです。長いこと放置していたなら、林の中の良い残したい木を選んで、その木が元気になるように、樹齢と樹高から空かす範囲を判断して、その周辺の木を思いきって切ってやるといい(先生の提唱する保存木マーク法)。光が入ると木は凄い勢いで大きくなっていきますよ。山林所有者の特権だと思って、楽しんで山造りを行って欲しいですね。
島崎先生の理念を広げる
里地にある奥深い山も、都市近郊の里山も、島崎先生のように、山を愛し山をどう造るかという明確なビジョンをもって山造りすれば見違えるほど良くなることはわかりました。
実際は高度な技術やノウハウでも、楽しみながら、実践のなかでしっかり習得し、山の素晴らしさや、人と山との共生のビジョンまでも島崎先生は伝えているのだな思いました。
山と共生できる人、山と人との共生のビジョンを抱ける人を早く育てていかなければいけないことも痛感しました。まずは、島崎先生のように、楽しんで実践する。一見あたりまえのように見える価値感を、私たち自信が学び自ら行動していきたいですね。
島崎先生理念を広げることが天竜川流域も都市近郊の里山を保全することとなる。
5. 四賀村クラインガルテンの取組
林業モデルに関しては、島崎山林研修所の「楽しんで森作りをしよう」という理念を調査したが、農業分野で、都市農村交流を実践する先進地である長野県四賀村のクラインガルチン「信州四賀村ばうずやまクラインガルテン」による遊休農地の活用策に関して調査を行った。このモデルは、農村活性化の起爆材となる可能性がある。
現在、都市住民の余暇の増大は自然とのふれあいを求め、そして自分たちが口にする食物への安全性への問題意識(グリーン思考)が高まってきており、緑の多い農村地帯への関心が寄せられている。長野県四賀村では、そういった都市の現状を背景に、遊休荒廃農地ω高度利用、地元住民の新しい農業への雇用の確保、都市住民の異質な文化と異なった価値観に恒常的に接して交流を深めることを目標に、平成4年度から「坊主山クラインガルテン事業」を構想した。このクラインガルテンへは、全国から視察が絶えない状況がある。というのは、非常に活性化した事例として全国が注目しているからである。
東京から3時間、名古屋から2時間、大阪から5時間という立地条件と共に、リゾート的な響きを持つ信州四賀村のクラインガルテンは、以前は桑畑として利用され、荒廃しつつあった農地を借り上げて実施された。事業の構想に基づくこのクラインガルテンの特徴は「滞在型市民農園」であること、「無農薬農業を推進していること」「いなかの親戚制度を持つこと」などである。また、この事業の地域への関わりは、いなかの親戚制度による地域住民とガルテナーとの交流がはかられている以外にも、経済面では、村内での買い物を推進するためにポイントカードを用いてもらうことによって地域の活性化に関わっている。実際、このクラインガルテンの事業を行うことによって地域に多面的な利益がもたらされなくてはならないのが現状であって、運営側としては利用者をかなり厳しい選考の上で迎え入れている。以下、関係者の声を掲載する。