地域概要
諏訪湖は本州のほぼ中央部に位置し、今から100万年前に、静岡-糸魚川構造線の西崖に生じた地殻の変動によってできた断層湖である。長野県で最も標高の高い盆地である諏訪盆地の北よりにあって、湖面標高759m、湖面積13.3km2、護岸延長15.9kmと長野県内最大の湖だが、最大水深は、7.2m、平均水深4.7mという非常に浅い湖です。この湖底には300m近い土砂が堆積している。かつては、現在の約2倍の面積を有し水深ももっと深かったことが分かっている。この諏訪湖へは八ヶ岳の西斜面や周辺の山々の圏域総面積715km2、集水域面積は、531km2に降った雨や雪が、大小31本の河川を通じて流れ込む。この圏域内人口21万人(諏訪市、岡谷市、下諏訪市、茅野市、原村、富士見町)のほとんどがこの集水域に暮らしている。
従って、諏訪湖の現状は、住民の産業活動・農業生産様式・生活形態によって、大きく作用する。この影響を受けて、諏訪湖は、近年アオコの発生が見受けられるほど深刻な状態になっている。
急速な近代化により10年前時点で、諏訪湖の護岸は全てコンクリート護岸となっている。この人口護岸により自然浄化作用がなくなり、水質改善は望めない状況となっている。かつての水辺は、葦を始めとする水草、小魚、昆虫、微生物などが共生しており、汚れた水の自然浄化力を持っていた。護岸工事は、洪水の予防のため、あるいは、道路建設のために河川や湖沼の岸はコンクリート化されてきた。
この諏訪湖の釜日水門から天竜川の流れが始まる。天竜川は、中央アルプスと南アルプスに挟まれた伊那谷(伊那市、駒ヶ根市、飯田市)を南に下り、奥三河北壁の山岳地帯(静岡県天竜市)を下り、浜北市、磐田市、浜松市を通り、遠州灘(静岡県)へと流がれ込む流域延べ約213kmにも及ぶ一級河川であり、我が国でも有名な急峻な土砂河川。天竜川流域は、厳しい地形のため山が崩れやすく、過去に多くの災害に見舞われ「暴れ天竜」の異名もある。天竜川の名前は室町時代以降に定着したもので、諏訪神社が信仰する竜神像に深く由来している。
かつて天竜川は、生活物資の輸送や木材などを運ぶために利用されていたが、現在は農業・工業・上水道、発電に利用されている。流域の歴史と文化を育む遥かなる河川。流域の主要な支流の数は、25河川。南アルプスと御岳山の合間を流れるこの河川は、諏訪湖における水質BOD7は、一部の澄んだ支流の水の流れ込みと、河川における自然浄化力によって諏訪湖の水質を、汚染の上限として、河口域では希釈と自然浄化が進んでいる。