地域概要
北海道標茶町は、釧路市の北に隣接する東西約59km、南北約60km、面積約1,107平方kmの広大な面積を有する町。日本では、第四位、北海道では足寄町、別海町に次ぐ、「町」としては、第三番目の大きさを誇る広さだ。町は大別すると丘陵地帯と平野部に分けられる。はるかに望む摩周、阿寒、知床などの山々、平野部を東西に分ける釧路川や別寒辺牛川、西別川の豊かな流れ。さらに塘路湖、シラルトロ湖の2つの湖。釧路湿原に連なる湿地帯は、釧路川やその支流の小さな川たちが、くねくねと蛇行しながら独特のラインを描いている。森と湖、そして、湿原。標茶は大らかな自然が美しく息づく北の大地である。澄み切った空気。連綿と続く牧場風景緩やかな地平線を描いて、緑の大地がどこまでも広がっている。
町の歴史と概要
明治18年、川上郡熊牛村(昔の標茶の地名)他4カ所戸長役場が設置された。この年、未開の森林を切り開いて北海道集治監釧路分監が標茶に開設され、本格的な町の歩みが始まる。後に軍馬補充部川上支部も置かれるなど、標茶は管内でも独自の位置づけにあって重要な役割を果たした。昭和31年に釧路内陸集約酪農地域に指定されてから、広大な土地資源を有効に活用し、全国でも有数の酪農地帯へと発展した。最新式のステールサイロが立ち並ぶひとまわり大きな牧場風景。それが標茶の酪農である。牛乳の生産制限や飼料・乳製品の輸入問題など酪農を取り巻く情勢は決して甘くはなく、これらの困難を乗り越え、土づくり、草づくり、牛づくりの研究を重ねながら足腰の強い酪農経営を展開中である。道路実延長約930km、総面積約11万ヘクタール(東京都の半分)の広さである。
標茶町の人口
現在の人口は、約10,100人、昭和35年当時17,400人の人口があったので、35年間で約7,000人が減少している。総世帯数約3,500戸、農家戸数は、約600戸、この内、専業農家(酪農)は、約75%占める酪農地帯だ。
酪農家の推移
26,000ヘクタールの農地に約40,000頭の牛を飼っている(一戸あたり平均約70頭)。釧路管内一の頭数を誇り、生乳生産量は、年産10万トンである。その大部分が加工原料乳。農家一戸あたりの牧場専用地は、約38ヘクタール。30ヘクタール以上の大規模経営農家が半数以上を占める大型草地酪農が特色で、農用トラクターや農用トラックをはじめ、パイプラインやミルカー、モアーなどを完備する農家が多く、機械化や近代化が進んでいる。全体の商業販売額は、148億円である。
自然資源、野生生物、観光の町標茶
標茶町は、釧路湿原と阿寒国立公園という2つの国立公園を地域内に持つ全国でも異例の地域である。全国でも2つの国立公園を有する町村は、3市町村のみである。釧路湿原の過半を占める標茶には、もう一つ「ノロッコ号」という湿原散策の列車が走っている。低速で運行し湿原を散策できるこの列車は現在観光の目玉になっている。標茶町は、酪農地帯と湿原地帯の2つの顔を見せる広大な大地である。自然資源・野生動物は、ラムサール条約登録の釧路湿原、そして、阿寒国立公園は、希少生物の宝庫でもある。