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3. 様々なタイプの高校生が児童館を注目してくれるようになってきました。

居場所型の“焼肉定食”と利用型の“楽祭”の2つのサークルが協力して音楽祭を開くことを進めていた12月、私立女子高にあるボランティア・サークルの代表から、『歳末募金を児童館に』と持ってきて頂いた事には驚き、また感激しました。また別の公立高校の演劇部の学生が児童館を訪ねて来られ、『京都府の高校演劇部の発表会に広告を出して欲しい』と頼まれました。その学生も桂児童館に時々来ている学生でした。

こんな事は今年度に入ってからの事で、児童館を高校生にとって“自分達とつながりのある場所”として認めてくれだしたと感じられてきました。うれしかった。

 

4. 高校生を中心にした音楽祭を99年1月10日に開催

○“立案から開催までの事前準備”

居場所型の高校生と、ほとんど大学に進学しているらしい利用型の高校生の2つのサークルが協力して何が出来ないかと考えていました。それぞれの顧問と相談役に事前に主旨を話し、了解を得てから、3人ずつの代表に集まってもらい、実行委員会をつくりました。第1回が11月28日で3回開催しましたが、大人以上に試験や用事などで都合がつかず、会議の日を決めるのが大変でした。

会議では、2つのサークルともに、1月10日までにバンドを組んで練習する時間がもてない。だからそれぞれにチームを作ってやってみよう、ということでサークル全体ではなく、サークルの中の個人参加の形をとりました。30人集まればいいということで、計画をすすめました。

館としては新春の行事であり、また居場所型と利用型の2つのサークルの協力で開く、記念すべき取り組みであるので、音楽家の方を呼ぶことにしました。今の高校生や青年が活動することに理解のある、声楽でソプラノ歌手の藤本さんとフルート奏者の掛村氏に出演を依頼しました。出演の謝礼はお二人ともピアノ伴奏者をお連れになられましたが、本事業の講師謝礼の範囲で御理解いただきました。

さていよいよ直前になって、ドラムセットを用意しないと練習も音合わせも出来ないという事が解りました。児童館にドラムセットが有れば今後の中高生にとってプラスになると考え、 1月6日の会議に間に合わせました。そして1回だけの練習で本番を迎えました。楽器購入の費用は勿論寄付です。

○“1月10日(日)音楽祭”出演者を入れて総数44名の参加

児童館としても高校生にしても全く始めての行事で心配でした。“楽祭”の2つのバンドの内1つは高校生だけで演奏しました。ボーカルの女生徒さんは『昨日の午後急に出て欲しいと言われたので、うまく歌えるか分からないけれど』と言いながらも、一生懸命歌ってくれました。また大学生、予備校生、高校生のメンバーはレベルが高くなかなか聞き応えがあり聞かせました。このメンバーも寄せ集めで、みんな『頼まれたから』と言っていました。

“焼肉定食”は1バンドでした。演奏というよりも楽器をいじっていたという感じでしたが、高1の女の子から『ドラムを叩きたい』と言う声に応えて出場が決まりました。1回切りの練習でありましたが1曲演奏してくれました。

『頼まれたから』で集まれるものではないと思います。音楽を演奏するのですから。先輩、後輩も人間的な関係に結ばれている、大きな仲間が有ることを見せてくれたと思います。

それからもう一つ、若者にとって今の音楽は生活の中に入っていることを感じました。リズム感はみんなとてもいいものを持っています。これから児童館にドラムセットがあることで更に豊かになるでしょう。

そして彼等から館長に言ったことは、『やるんならもっと早くに、6カ月ぐらい前から決めないと』の一言でした。確かにそうです。これからはドラムが叩きたい時は児童館に来ればいいのですから。しかしあの大きな音はどうでしょう。度重なればきっと近所から苦情が出そうです。のびのびと楽しみながら叩くには、防音装置の有る音楽室が必要です。

プロの音楽家のステージは音楽の素晴しさをあらわしていただきました。高校生やそのグループの仲間にまた違った素晴しさが感じさせたと思います。

 

 

 

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