1. 案内人のやりがい
会誌『野鳥』(1993年5月号)の特集「あなたも案内人」では、「野鳥の楽しみ方には、楽しみを伝える楽しみもある」として「あなたも知人をバードウォッチングに誘ってみませんか」と結んでいます。ここでは『野鳥かみしばい 利用の手引き』(1996年)「4.案内人を楽しむ」から一部抜粋してご紹介します。
●自分自身をリフレッシュする
「知識や経験が増えるにつれて、感性が鈍り感動がなくなった」という経験はありませんか? バードウォッチングにとってムクドリやヒヨドリのような身近な島たちは、何度も出会っているうちに「なーんだムクドリか」というように出会いの感動が薄れていくもののようですが、今はベテランを自負する経験豊富なバードウォッチャーでも、自分で初めてムクドリとわかった時はきっと嬉しかったはずです。探鳥会リーダーをやっていて、初めて野鳥と接した人の感動に触れると、どんな鳥であれ「やっぱり鳥っていいな」「バードウォッチングは楽しいものだな」と再認識させてくれるハズです。
●苦労が多ければ実りも多い
バードードウォチングは老若男女、仕事や立場を越えて楽しめるものですから、探鳥会には不特定多数の方が参加されることが普通です。さまざまな方への心配りは案内人としての苦労であるとともに、さまざまな見方、感じ方、考え方を知ることに結び付くので、自分自身の役に立つものとも言えます。
さらに、人に伝えることを意識して野鳥や自然とつき合っていると、認識はより深く、感動はより大きくなると言えます。例えば、わかっているつもりのことも人に伝えようとすることでより整理されるし、野鳥との出会いが自分だけのものではなく、人に野鳥の魅力を伝える話題となって広がっていくのです。
●自分を生かす
案内人のやりがいのひとつに、自分を生かすことがあります。自分の観察、感動、あるいは知識や経験、さらには能力や性格を案内に生かすことです。