6. 質問に答える Q&Aの事例
「案内人」が、質問を受けることがあるかもしれません。多くの場合、それは相手が信頼してくれた証であり、相手の興味や主体性を引き出すことに成功した成果です。が、経験面では修行中、知識面では勉強中であると、どう対応すればいいか弱ってしまうケースも考えられます。
質問内容、質問者、状況によって、さまざまな対応が考えられますが、まず始めに、自分の立場がボランティアであり、勉強中の身であることを相手に理解してもらい、わからないことは無理して答えようとしないことが大切です。
質問の答え方は、まず答える目的を考えましょう。答えをあげること自体が目的でなければ、一緒に考える、調べるなど対応の工夫はできるはずです。ただし、単に答えを欲しい人、答えが簡単にあるものと思っている方への対応はつらいものです。「案内人」は知識を求められたらきりがありません。だからこそ個々の知識よりは第2章で述べた全体的認識が大切です。また、何についてはどれを見ればよいかを知るようにしましょう。会誌『野鳥』や支部報など自分の関係するグループの発行物を見直してみると、案外参考になることがあるものです。図書館、博物館、サンクチュアリなど活用できる施設も少なくないはずです。
(1) 鳥の名前について
野鳥の識別は、ポイントさえ確認すれば種が簡単にわかるものと、ベテランでさえ非常に難しいものとがあります。基本的には季節、場所、環境がわかればかなりの可能性が絞り込めます。色や模様や体型などは、人や状況によって印象が違うので、アテにしない方がいいこともあります。具体的に識別点を押さえるポイントとしては「スズメと比べて、どうだったか」など比較対象をはっきりさせることがあげられます。種までわからない場合、「何の可能性があるのか」「どんな識別点が確認できれば、種までわかるのか」「何の仲間か」「何を調べればわかるか」など自分の範囲でわかることまでを伝えるのが親切でしょう。