次に、自然保護や環境教育に役立てるためのプラス面を第1章で書いたので、ここではマイナス面とその対策にふれておきます。
1] バードウォッチングには慣れが必要
・野鳥は慣れないと「見つけにくい」「近くでゆっくり見れることが少ない」「見分けにくい」などの点から、植物や昆虫などに比べると身近に感じにくい。
・ただし、「見分けにくい」という点に関しては、昆虫や植物の方が種類が多い上に、未分類や未発見が多く、交雑種が多いなどの点では見分けにくいともいえます。
・バードウォッチングを普及する上では、野鳥の存在にどう気づいてもらうか、どのように身近に感じてもらえるかがポイントでしょう。逆にいえば、見つけ方、見分け方、双眼鏡の使い方などがうまく案内できないと関心が持たれにくいことになります。
・このマイナス面を魅力として生かせないでしょうか。例えば近づきにくい、動きが速いということは、見分けることがおもしろくなるとスリルにもなります。また、声で聞き分ける、姿かたち以外の識別ポイントの紹介などの工夫ができますが、最初に重要なのは、慣れることで次第に見分けられるようになるという説明ではないでしょうか。(見分け方の解説は第4章参照)
・季節、場所、環境、対象種の選択を工夫することも考えられます。例えば、森の中の小鳥よりは、水辺の鳥の方が、見つけやすく、じっくり見られる点では、初心者向きです。
2] 同時、多人数での観察が難しい
・このマイナス面も季節、場所、環境、対象種の選択を工夫したいものです。例えば公園の池で慣れているカモなどは、同時に多人数で、さらに双眼鏡がなくても観察できます(第6章参照)。
・観察方法を工夫することもできます。例えば、多人数でのプログラムとして、見つけたい鳥を先に示して、分散して探してもらうことも可能です。