日本財団 図書館


1] 共存のしくみ

夜空いっぱいの星を見上げて、感じたことはありませんか?「こんなにもさまざまな生物が暮らすこの地球という星は、奇跡だ」と。

この奇跡の星のしくみについて、敢えて簡単に説明すると、「共存」と「循環」がキーワードになるのではないかと思います。

植物という生産者が光合成によってつくり出す栄養素を、人も含めたあらゆる生物が消費していきます。例えば、直接植物を食べる虫、その虫を食べる小鳥、その小鳥を食べるタカの仲間といった具合に消費の段階が高くなるにつれて数が少なくなるので、それぞれが滅びることはありません。もし必要以上に虫が増えすぎて、植物を食い尽くすようなことになればどうなるでしょうか。虫たちは餌不足となって生存の危機を招くことになるわけですが、小鳥という捕食者が虫の増えすぎを抑えることでバランスが保たれます。

あなたが出会った小鳥の背景には、その生命を支えるだけの多くの虫や植物がなくてはならないわけです。あるいは、タカが小鳥の増えすぎを抑えるということも必要かもしれません。このように打食べる」「食べられる」という立場の違う生物たちのバランスによって、「共存」が成り立っており、このしくみは、生産者を基にしたピラミッド型でよく表現されるものです。

「共存」の奇跡はこれだけではありません。同じ立場の中でさえ、さまざまな種類が共存しているではありませんか。同じく虫を食べる小鳥でも、ツバメは空中の虫を、シジュウカラは枝先の虫を、コゲラは幹にすむ虫、セキレイ類は水辺の虫…といった具合に食いわけています。すみかや季節、活動時間、食物などの暮らし方の違いは、違う種類の「共存」に結びついているのです。

 

2] 循環のしくみ

この星のもうひとつの奇跡は、このような「共存」のしくみが「循環」し、持続されていることにあります。それは、あらゆる生物の排出物や死骸は分解され、再び生産に結びついているということです。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION