(8)悪質商法被害防止講習会の実施
独居老人や昼間において家人が稼働等により単独で留守番中の高齢者が、被害にかかる悪質商法事案が増加傾向にあることから、この種事案被害の未然防止対策を推進するとともに、高齢者の防犯意識の啓発を図るべく、みだし講習会を実施するなどの高齢者保護活動を推進した。
(9)「子供110番の家」「はいかい老人SOSネットワーク」の整備拡充と活動促進
かかる活動の実効を期すべく、一般に各システムの周知徹底を図るための広報活動を積極的に進めるとともに、事案発生時における通報要領等についての具体的指導講習会の実施など、社会的弱者に対する保護活動を推進した。
(10)歳末パトロールの実施
警察官と合同による街頭パトロールを実施して、地区内に所在する金融機関やぱちんこ屋等に対する立寄り警戒を進めることにより、関係者の防犯意識の啓発を図るなど、歳末における現金強奪事案等の凶悪事件の未然防止対策を推進した。
5 モデル地区活動の効果
下関市は、本州最西端に位置していることから、新幹線や高速道路等の大動脈により九州へ通じる玄関口であり、下関国際港ターミナルからは、韓国釜山市へ就航している『関釜フェリー』が毎日発着するなど、国内外における交通の要衝である。
また、我が国有数の水揚げ量を誇る下関漁港を有するとともに、日本海及び瀬戸内海に面した長い海岸線に囲まれ、管内の南部には県内随一の歓楽街が位置しており、その後背地である「山の田地区」は、ベットタウン化した一大住宅街を形成し、さらに、その北部には農山漁村地区が連なるなど、南北に長い地勢から地域性も大きく異なっている。
本事業パイロット地区に指定された『山の田地区』は、新興の住宅街であるため、住民間における連帯意識が極めて希薄で、地域の相互扶助能力が著しく低下していることから、従来からの犯罪抑止力を強化すべく、昭和41年から『山の田防犯モデル地区』として,さらに、平成7年からは『北部地区長寿社会対策重点地区』として、警察及び地区防犯協会から独自に指定を受け、それぞれ自主防犯活動や高齢者保護活動等を活発に推進中であり、地区内各自治会にあっても、それぞれ防犯部長を選任し、その指導のもとに、住民による夜間の自主パトロールを定期的に実施するなど、重点的な地域安全活動を展開しているところであるが、現在は、長年の活動もマンネリ化していたのが現状であった。
今回、パイロット地区として指定を受けたことで、同事業推進指導員・推進員が、中心となり、各地域安全ボランティアのリーダーシップをとるとともに、住民をも巻き込んだ各種活動を推進した結果、他のボランティアの活動活性化に繋がったほか、地域住民が活動に対する参加意識をもつことにより、「自分の安全は,自分が守る」といった自主防犯気運の盛り上がり、さらには、その活動の浸透・定着化に成功をおさめたことは、「明るく住みよい街づくり」に貢献することを目的とした本事業の成果である。
また、上部組織である下関市防犯対策協議会を中心に、地域・自治体・警察が連携を密にした広報活動や相互の情報交換等により、他の地域における地域安全活動にも大きな影響を及ぼし、他地区にあっても当パイロット地区をモデルとした各種対策を推進する動きがあるなど、地域安全活動の幅広い普及がみられ、広く市民の自主防犯意識の高揚に果たした本事業の効果は絶大であった。